リサイクルから一歩踏み出した「循環社会」とは

2020年1月14日 06:49

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 仕事場に使用している部屋を見回すと、きちんと専門業者を介して処理されれば、回りまわって「再生紙」として戻ってくるであろう「古紙」の類に私は覆われているといって過言ではない。リサイクルは、環境に優しい。ひとえに、それに疎い私に非がある。

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 だが世の中は既にリサイクルの域から数歩踏み出した、「循環社会」に着実に歩が進んでいることを知った。

 単なる不用品の再利用やリユースではない。従来なら「廃棄」の対象になっていた物の元々の形状や特長を活かし、新しいアイディアを加え「他の用途の別の物」に蘇らせる。言い換えれば、そのままではゴミに過ぎない物を宝物に変える。循環社会とは、そんな事由を示すのだという。

 パナソニックとオープンエー(建築家:馬場正尊氏が起業。不動産関連事業を展開)が共創した、工場の排出物を再活用した「アップサイクルプロダクト」などがその先頭ランナー。これを例えば三菱地所の子会社:三菱地所レジデンスが手掛けるシェアオフィス「ザ・パークレックス天王洲ザデスク」が、具体的にこんな形で導入している。

 「電気炊飯器の釜部分:電球のカバー」、「電気アイロンの鉄の部分:ブックエンド」、「製品の型取りや成形に際して使われる樹脂:電気スタンドの支柱」、「車のシートベルト:椅子の座面や背もたれ」等々といった具合。

 三菱地所レジデンスでは「天王洲のシェアオフィスを覗いてもらうと分かるが、ユニークなアイディアで蘇った製品が沢山ある。築古ビルのリノベーションを手掛けているが、天王洲ザデスクのような様々な分野の製品を異なった形で活かすコラボレーションは楽しい」と、喜々と話す。

 同感の拍手を送る企業も増えている。例えばビルなどのワークプレイスに「緑」を活かし自然環境に近づけて最適なオフィス環境を創り出す「コモレビズ」の提供を手掛ける、パソナ・パナソニックビジネスサービスなど急先鋒。記した天王洲のシェアオフィスにコモレビズが導入されていることもあり、こんな風に強調している。

 「物は、本来なら廃棄物となる製品だが使い方や工夫次第で生き返る。うちのモットーは地球環境に優しさを提案すること。天王洲の一件は、刺激になる。今後の展開の見本にしていきたい」。

 いま粗大ごみの類は、有料で回収される。遠からず、活用可能な粗大ごみを専門に取り扱う業者が登場するかもしれない。こんな側面から「環境への優しさ」を再認識するべきであろう。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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