フィリピン固有ミツバチのプロポリスに胃がんの抑制効果 東大らの研究

2019年12月28日 20:57

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フィリピン固有種のハリナシミツバチTetragonula biroi Frieseおよびプロポリス採取の様子(写真提供:Peter Cervancia氏、東京大学の発表資料)

フィリピン固有種のハリナシミツバチTetragonula biroi Frieseおよびプロポリス採取の様子(写真提供:Peter Cervancia氏、東京大学の発表資料)[写真拡大]

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  • 胃の組織像。疾患モデル動物A4gnt KOマウスに自然発症した分化型胃癌における細胞増殖(核が茶色に染まっている)は、プロポリス投与により有意に減少した。

 東京大学の研究チームは、フィリピン大学ロスバニョス校との共同研究により、フィリピン固有種であるハリナシミツバチが作り出すプロポリスが、分化型胃がん細胞の増殖を抑えること、およびその仕組みを明かにした。

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 胃がんを自然に発症するマウスにプロポリスを30日間毎日与えたところ、腫瘍が小さくなったことを確認。様々な物質が含まれているプロポリスのどの成分に効果があるか調べていくことで、今後新たな胃がん治療法の開発が期待できそうだ。

 プロポリスは、ミツバチが様々な植物の樹液や新芽などとミツロウを混ぜて、巣の隙間を埋めるために詰め込んだ物質である。以前より抗菌作用を持つことが知られており、ミツバチにとっては巣を病原菌などから守る作用があると考えられている。古くはミイラの作製に使われており、近年では健康食品やサプリメントとして利用されている。

 プロポリスは、産地や抽出方法などにより含まれる成分が異なっている。今回の研究は、フィリピンの固有種ハリナシミツバチが作るプロポリスを対象とし、その機能性・有用性を評価してきたフィリピン大学と、東京大学による国際共同プロジェクトとして行われた。

 研究ではまず、異なる4種類の胃がん由来の培養細胞に対して、プロポリスが持つ効果を調べた。すると、このうちの3種類が該当する、癌の境界がはっきりしているタイプである分化型胃がん由来の培養細胞に対して、強い増殖抑制がみられた。

 さらに細胞分裂周期であるG1期の指標となる、p21というタンパク質の発現増加を確認。未分化型胃がん細胞では、p21は増加していなかった。

 つまりプロポリスの成分が、癌細胞の細胞周期をG1期に誘導して細胞分裂を止めたため、増殖が抑えられたと考えられる。アポトーシス(細胞死)の誘導については、分化型胃がん細胞のうち1種類のみでは強くみられたが、他2種類の胃がん細胞ではわずかにみられたのみだった。

 次に、分化型胃がんを自然発症する疾患モデルマウスに、30日間毎日100mg/1kg体重のプロポリスを与えたところ、このマウスの胃がんは小さくなり胃の粘膜上皮の厚さが減少、細胞増殖が抑えられていた。また、p21の発現も培養細胞での結果と同様に増加していた。

 様々な物質の混合物であるフィリピンプロポリスについて、成分分析をガスクロマトグラフィーにより行ったところ、これまで報告されている他のプロポリスとは異なる化合物が含まれていることも明かになった。

 今後、フィリピンプロポリスに存在しているユニークな化合物の分析をすすめていくことで、どの成分が胃がん抑制作用を持つかが明かになっていくだろう。さらに、このプロポリスが分化胃がん以外の腫瘍にも効果を持つかについても、検討をしていく予定という。

 研究成果は、Scientific Reportsに23日発表された。(記事:室園美映子・記事一覧を見る

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