有害ガスが地球外生命体発見のカギとなる 米大学の研究

2019年12月25日 07:19

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 ヒトを含む地球上の大半の生物は、呼吸により酸素を体内に取り入れることで代謝する。他方、バクテリアなど代謝に酸素を必要としない生物が存在する。これら嫌気性生物から生み出されるホスフィン(リン化水素)が地球外生命体の発見に役立つという報告が米大学の研究グループによって行われた。

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■有毒性のあるガス

 リン化水素は、毒性をもつ可燃性の無機化合物だ。ペンギンのフンや沼地、魚やタヌキの腸からも検出される。

 リン化水素は1970年代に木星や土星等のガス型惑星で発見された。惑星表面の対流層での汲み上げ効果でリン化水素が偶然生成したと考えられている。その一方で、地球のような岩石型惑星でも存在する。ただし、嫌気性生物によって生み出される点でガス型惑星の場合と事情が異なる。

 リン化水素については知られていることは多くない。なぜ2つの異なるタイプの惑星からリン化水素が生成されるのかが、米MITのClara Sousa-Silva氏が10数年来にわたって取り組んできたテーマだという。同氏が地球上でリン化水素を探るうちに気づいたのは、酸素を必要とする好気性生物にとってリン化水素は有毒だが、リン化水素を生成する嫌気性生物にとって酸素は有毒だということだ。これは、リン化水素は生命が存在する痕跡となりうる可能性を示唆するという。

■立ちはだかる問題

 リン化水素を太陽系外惑星から検出できれば、地球外生命体の存在する可能性が考えられる。だが問題は、岩石型惑星の自然現象によりリン化水素が生成される可能性を排除できるかだ。自然現象としては、プレートテクトニクスや流れ星の衝突等が考えられる。Sousa-Silva氏を含めたMITとカルフォルニア工科大学の研究グループは、この可能性排除に長年研究を費やしたという。研究の結果、岩石型惑星では生物によってのみリン化水素が生成されることが確かめられた。

 太陽系外惑星の大気からリン化水素の検出は、惑星からの光のスペクトルから判明できる。
 2021年打ち上げ予定のジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡なら、16光年離れた場所でも検出可能だという。

 地球外生命体の存在を示唆する化合物の候補は16,000以上存在するという。だが大半の化合物は特徴づけが済んでおらず、唯一信頼できるのがリン化水素だったという。

 「生命のみが化合物を生成できると判明すれば、金を掘り起こしたような気分だ」と、Sousa-Silva氏は述べている。

 研究の成果はAstrobiology誌にて11月22日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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