天の川の中央部に古代のスターバーストを発見 ヨーロッパ南天天文台

2019年12月20日 08:52

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 ヨーロッパ南天天文台(ESO)が南米チリに建設した超大型望遠鏡VLTによって、銀河中心部の観測を実施し、この領域における恒星誕生のドラマの詳細を12月16日付のNature Astronomyで明らかにした。

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 VLTは口径8.2mの巨大望遠鏡4器から構成される世界最大級の観測設備である。今回の発表で、銀河中心部に存在している恒星の約80%が、今から80億年ないし135億年前の銀河形成初期の時代に誕生していたことが明らかにされた。

 また、その後の約60億年は、恒星の誕生が非常に少ない時代が続いたのだという。さらに今からおよそ10億年前に、銀河中心部で激しいスターバーストと呼ばれる現象が起こり、数千万個の恒星が誕生した。

 スターバーストとは恒星のもととなる星間ガスが短期間に大量に作られ、圧縮されて一度に大量の恒星が形成される現象を指す。スターバーストが起きた今から10億年前からの約1億年間は、銀河系の歴史の中で最も活発な活動が起こった時期であり、巨大な恒星が大量に誕生したと考えられている。

 ただし、恒星は質量が大きいほど寿命が短いため、その時代に誕生した恒星はほとんどが死を迎えるかまたは巨大なブラックホールへと変貌を遂げている。さらにそれらの恒星が死を遂げる際には、同時期に10万個以上の超新星爆発が起きたであろうとされている。

 なお、現在は銀河系全体において、太陽質量換算で年1から2個程度の新たな恒星が形成されている。それとくらべると約10億年前に起きたスターバーストは非常にエネルギッシュな光景であったに違いない。そのころの地球上ではようやく多細胞生物が誕生したに過ぎないため、当時の生命体がこのスターバーストの光景の目撃者となることは残念ながらなかったであろう。

 私たちの銀河系は少なくとも誕生から100億年以上が経過しているが、その当時から輝き続けている恒星は、今回発表のあったスターバーストにより誕生した巨大恒星群ではなく、赤色矮星と呼ばれる太陽質量の10分の1程度の小さな恒星たちである。

 ただし、100億年以上輝き続けている恒星の存在は残念ながら確認できないであろう。その理由は100億光年の彼方にある赤色矮星は明るさが太陽の1万分の1未満で、その光は地球まで到底届かないからである。

 ちなみに私たちから最も近くにある赤色矮星はプロキシマ・ケンタウリであり、太陽に最も近い恒星でもある。この赤色矮星の寿命は最低でも1,000億年、長いものは10兆年以上に及ぶとされている。ただし、私たちの宇宙が10兆年も存続できるのかどうかもわからない。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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