銀河中心から噴き出す風から銀河の進化が明らかに NASAの研究

2019年3月9日 19:57

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SOFIAからの撮影をもとにしたM82の合成画像 (c) NASA/SOFIA/E. Lopez-Rodriguez; NASA/Spitzer/J. Moustakas et al.

SOFIAからの撮影をもとにしたM82の合成画像 (c) NASA/SOFIA/E. Lopez-Rodriguez; NASA/Spitzer/J. Moustakas et al.[写真拡大]

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 米航空宇宙局(NASA)は5日、遠赤外線天文学成層圏天文台(SOFIA)を活用して、M82と名づけられた銀河の中心から噴き出す銀河風を観測したことを発表。その結果、銀河風が磁場に沿って塵やガスを大量に輸送することが判明した。この発見が、M82だけでなく初期宇宙の銀河の進化も明らかにすることが期待される。

【こちらも】「空飛ぶ」天文台SOFIA、オリオン座の「ドラゴン」の3D構造を明らかに

■葉巻の形をした銀河M82

 おおぐま座に位置する「M82」は、天の川銀河よりも10倍もの速度で新星が誕生することで有名な銀河だ。M82は、その形から「葉巻銀河」とも呼ばれる。

 ほかの銀河と比較し極端に多い新星を生み出す「スターバースト銀河」として、M82は特徴づけられる。このほかにも、銀河間の宇宙空間に向けてガスや塵を注ぐ「銀河風」と呼ばれる強い風が、M82を吹く。銀河風は銀河の磁場を同じ方向に引きずると天文学者は理論化したものの、これを観測によって証明できていなかった。

■空飛ぶ天文台に搭載された最新の装置で観測

 今回、NASAと独航空宇宙センターが共同運営する遠赤外線天文学成層圏天文台(SOFIA)がM82の観測に使用された。遠赤外線観測用の望遠鏡を搭載した飛行機である「SOFIA」に設置された、「JAWC+」と呼ばれる高解像度で観測できる最新鋭の装置を使用すると、星の塵の粒を観測できるという。

 研究グループはSOFIAからのデータを活用し、太陽の5,000万から6,000万倍もの質量のガスや塵を銀河間の宇宙空間に輸送していることを初めて発見した。加えて銀河円盤に垂直方向になるよう銀河風が、2,000光年もの距離で磁場を引きずっていることを発見した。この距離は、風自身の幅に近いという。

 「今回の研究の主要な目的のひとつは、どのくらい効果的に銀河風が磁場を引きずるのが可能かを評価することにあった」とSOFIAのチームと協働する大学宇宙研究協会のエンリケ・ロペス・ロドリゲス氏は語る。ただ今回の発見のように大規模で磁場が風とともに整列することは予期していなかったという。

 今回の観測は、大量の新星を誕生させるスターバースト現象と結びついた銀河風が、近傍の銀河間の宇宙空間に物質を注ぎ、磁場を引きずる現象のカギとなっていることを示唆する。同様のプロセスが初期宇宙で起こるとすれば、これが初期銀河の根本的な進化に影響を与えるだろうと期待される。

 研究の成果は、米天文物理学誌Astrophysical Journal Lettersにて1月4日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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