日大や名大、銀河の電波指紋認証を実施 分子カタログから銀河タイプを特定

2019年12月18日 17:06

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3個の銀河から判明した分子カタログ(写真:国立天文台の発表資料より)

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 個体を識別可能な指紋をヒトがもつように、銀河もまた電波指紋認証によりタイプが判別可能だという。国立天文台は12日、3つの銀河から放たれた電波から分子のカタログを作成したと発表した。分子カタログにより特定の銀河を識別可能だという。

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■光を放つ2種類の銀河

 我々の住む天の川銀河以外にも、宇宙には数千万個もの銀河が存在すると考えられている。そのなかでも、強い電磁波を放射して明るく輝く銀河が存在する。ブラックホールを源にし大規模なエネルギーを放出する「活動銀河核」をもつ銀河と、短期間に大量の大質量星が誕生する「スターバースト銀河」の2つだ。

 2つの銀河で発生する物理現象は全く異なるが、銀河の進化においては関連性がある可能性もある。だが、銀河の中心領域を覆うガスや塵等の星間物質により、可視光線で内部を見通せないため、未だ謎な点が多い。

■電波で銀河の特徴を抽出

 これら銀河の内部で起こっていることを探るため、日本大学、名古屋大学などの研究者から構成されるグループは、2種類の銀河を観測した。活動銀河核をもつ銀河として「NGC 1068」、スターバースト銀河として「NGC 253」「IC 342」の計3個の渦巻銀河が観測対象に選ばれた。

 観測を実施した野辺山天文台は、国立天文台が運営する電波望遠鏡だ。「ミリ波」と呼ばれる電波を観測できる野辺山45メートル電波望遠鏡は、世界最大級の規模をもつ。同望遠鏡は銀河の中心核付近に存在する分子ガスが放つ電波を観測可能で、何が起きているかが判定可能だという。

 研究グループは観測の結果、高い空間分解能で分子スペクトル線の観測に成功した。水素原子スペクトル線やシアン化水素やその同位体など、複数の分子スペクトル線が観測されたという。分子スペクトル線は、銀河核領域の温度や密度等の物理状態だけでなく、ガスの化学組成などを探る上で基本的なデータになる。

 今回、活動銀河核をもつNGC 1068の中心部からは、メチルアセチレンが検出されなかった。活動銀河核をもつ銀河ではブラックホールによる大規模エネルギーの放射が複雑な分子を破壊する一方、スターバースト銀河では星の生成に伴う化学反応により複雑な分子が生成したと、研究グループは推測する。今回観測された複数の分子は各タイプの銀河の物理状態と密接に関連すると考えられ、銀河の分類に役立つという。

 研究の成果は、日本天文学会欧文論文誌に掲載された。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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