AI配車アプリでタクシー売上げアップ確実 タクシー歩合給の是正が可能に

2019年12月17日 14:17

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DeNAが提供する配車アプリ「MOV」の画面イメージ。左は「お客様探索ナビ」の画面、右は道路レベルでの需要予測結果の一例。(画像: ディー・エヌ・エーの発表資料より)

DeNAが提供する配車アプリ「MOV」の画面イメージ。左は「お客様探索ナビ」の画面、右は道路レベルでの需要予測結果の一例。(画像: ディー・エヌ・エーの発表資料より)[写真拡大]

 DeNAがAIタクシー配車アプリでサービスを開始している。日本では「白タク禁止」のためシェアリングとはいかないのだが、タクシー会社側にとって「AI配車アプリ」は願ってもないソフトだ。過去のデータを基に客がいるタイミングを予想して、効率よく配車し、売上げを伸ばすことが出来る。

【こちらも】タクシー配車アプリの「無断キャンセル」が問題に

 昔から、タクシー運転手には「客を拾う」ノウハウが必要で、道を覚えることと客待ちするところを時間帯によって選ぶことが重要だった。歩合給であるため売上げが全てであり、労働問題にもなることがあった。

 「AI配車アプリ」を使うと、タクシー運転手がムダなく客を拾えるばかりでなく、客側もタクシー待ちの時間が短縮できる。さらに、新人運転手でもすぐにベテランのノウハウを使うことが出来るので、成績に差がなくなる。

 それが逆に、運転手の雇用問題になることが考えられるが、人手不足の現在では問題とはなるまい。歩合給を根本的に解消できる可能性があるが、そうしているうちに「自動運転」となり、運転手の職業がなくなってしまうだろう。

 10年ほど先には、配車はほとんど自動になっているはずで、シェアリングサービスが種々の形で開始され、燃費規制のため個人で1台のタクシー利用は出来なくなりシェアアリングになっている可能性すらある。クルマの所有そのものを見直すことになろう。

 現在、タクシーなど営業車の運転には2種免許が必要だが、これは社会的に安全確保の意味合いが強いものだった。自家用車のシェアリングは事故の危険が大きいことと、事故が起こった場合の責任の所在が社会問題となる。日本の「白タク禁止」は「管理された社会」の証であり、中国で盛んに利用されているからと安易にシェアリングを行うべきものでもない。

 完全自動運転車が実用となった時、自動車の台数そのものを減らす試みと一体化していくだろう。例えば、小型の乗り合いバスでシェアするのが当たり前となり、その時の乗客の利便性をAIが即座に判断して配車するシステム、などといったサービスが創り出されていくだろう。

 そのような技術の進歩に遅れてはならないのが法整備だ。自動運転車とこれまでの手動運転車が混在する時期をどの様にして乗り切るべきか、研究を重ねておく必要がある。喫緊の課題だ。

 DeNAは自社のコンプライアンス問題が取りざたされたこともあるが、解消できたのであろうか?AIによる社内コンプライアンスモニタリングも開発すべきなのではないだろうか。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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