恒星の振動測定による銀河の年齢推定 銀河考古学

2019年12月8日 13:41

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 銀河に多数存在する脈動変光星(膨張と収縮を繰り返すことによって明るさが変化する変光星)のスペクトル解析では、その星が発する光の振動モードを検出することによって、光学式望遠鏡では点としてしかとらえることのできない恒星の内部構造を知ることができる。このような研究分野を星震学という。

【こちらも】死んだ恒星が宇宙をさまよい合体し復活 その終わりは? 独大学らの研究

 星震学の名前の由来は、地球での地震学による内部構造を研究する考え方を応用しているためである。12月4日、イギリス王立天文学会月報で、この星震学による銀河の構造や進化のプロセスの研究論文の概要が紹介された。今回はその情報について紹介する。

 2018年10月に任務を終えたNASAのケプラー宇宙望遠鏡によって観測された50万個にも及ぶ恒星データの解析は、現在も継続して行われている。もともとケプラー宇宙望遠鏡の運用目的は、太陽系外惑星の探索にあった。

 ケプラー宇宙望遠鏡における惑星探索の原理は、恒星の周りを回る惑星が恒星の光を遮ることで生じる明るさの微妙な変化を捉えて、見えない惑星の存在を確認するというものである。だが、この作業によって得られた膨大な数の恒星の光度変化のデータが、惑星の検出だけでなく、恒星の内部構造を知る手掛かりとなったのである。

 これまでの解析結果によれば、以前構築した銀河モデルに比べると、観測された恒星の質量が小さい傾向にあることが判明している。これは銀河モデル構築の際に立てた仮説のうちのいくつかに誤りがあったためである。

 研究論文によれば、以前の仮説で想定した恒星の化学組成(金属成分)に誤りがあったことを突き止め、新しい仮説を用いることで恒星の質量を誤差5%以内に収めることが可能になったという。

 一般的に恒星の寿命は質量が大きいほど短く、小さいほど長いということが理論的に明らかとなっている。今回の解析結果では銀河に存在する恒星の寿命がこれまで考えられていたものよりも長いということが明らかになった。

 具体的にはより古い恒星が密集している厚い銀河円盤は、今からおよそ100億年前に形成されたことが判明したのである。

 現在の最新のデータでは、宇宙の年齢は138億年とされている。銀河系の厚い円盤部に存在する古い恒星は宇宙が誕生しておよそ38億年後の100億年前に誕生し、現在までずっと輝き続けてきたということになる。我々に最も身近な恒星である太陽の年齢は50億歳である。銀河系の古株の星たちに比べたら、太陽はまだまだずいぶんと若いということになるだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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