東北大、電気浸透流により電気で潤うコンタクトレンズを開発

2019年12月3日 17:45

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自己保湿型コンタクトレンズの図。(画像: 東北大学の発表資料より)

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 コンタクトレンズは日本人の5人に1人が使用していると言われているが、ドライアイの症状は深刻な問題である。ドライアイは単に不快感をもたらすだけではなく、眼球表面の炎症や損傷、視覚障害の原因となりうる。東北大学の研究グループは11月29日、ドライアイを防ぐハイドロゲル素材の開発を進めてきた結果、有機物のみで構成された外部給電不要の抗ドライアイコンタクトレンズの実現に成功したと、発表した。

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 本研究の成果は11月28日付でAdvanced Materials Technologies誌のオンライン版に公開されている。

 液体に通電して送液を行う方法として、「電気浸透流」の利用は以前から知られており研究が進められてきた。しかし、コンタクトレンズに用いられるような有機物、特にハイドロゲルで電気浸透流を発生させた例はこれまで報告されてこなかった。

 そこで東北大学の研究グループは、ハイドロゲルの合成技術や含水量制御、分子の固定電荷密度に関する知見を集積させてきた。そして今回、すでに市販のコンタクトレンズに使用されているモノマーのみを重合させ、最適な電荷密度となるように合成を行った。合成に用いたモノマーはメタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレートの3種類である。それらの割合を絶妙に調節することで、ハイドロゲルの電気浸透流や強度の最適化を行った。

 その結果、ハイドロゲルの膜に電流を印加することで水分を保持する効果があることが判明し、ドライアイ緩和に有効である可能性が示唆された。また、コンタクトレンズに電池を搭載した自立型デバイスとしても動作が確認され、乾燥速度の低下が示された。今回用いた電池は生体親和性を持つバイオ電池であるのも特徴である。

 今回の結果は、電気浸透流の利用によってコンタクトレンズの保湿が可能であるとともに、ドライアイの緩和が期待できることを示すものである。また、水分の流れを制御する技術はドライアイ緩和だけでなく、点眼器や注射器などのような眼光への注出入法への発展も期待される。

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