伝統の「油冷エンジン」スズキ・ジクサー250/SF250東京モーターショー2019で発表 (2/2)

2019年11月22日 08:30

印刷

新開発の油冷エンジンを搭載した「ジクサー 250」。(画像: スズキの発表資料より)

新開発の油冷エンジンを搭載した「ジクサー 250」。(画像: スズキの発表資料より)[写真拡大]

 話をスズキ・ジクサー250/SF250に戻そう。まず、スズキのお家芸であるSACS(Suzuki Advanced Cooling System)油冷システムだが、11年前まではレーシングカーで採用されていた「ドライサンプ」システムと同様だ。実用車において潤滑油の供給は、エンジン低部にあるオイルタンクからシリンダーヘッド裏側にかくはんして供給し、ポンプを使ってシリンダーヘッド内部に供給されているのが通常だ。それをポンプで強制的にシリンダー裏側にも供給し、潤滑効果を高めると同時に油冷の役割も果たしている。オイルクーラーを備えている高性能車も市販されている。

【前回は】伝統の「油冷エンジン」スズキ・ジクサー250/SF250東京モーターショー2019で発表 (1/2)

 今回、スズキ・新冷却システムのSOCS(Suzuki Oil Cooling System)が従来SACSと違うところは、噴射システムではなく、水冷と同じように冷却回路(オイルジャケット)を這わせて油を循環させ冷却していることだ。オイルクーラーには電動ファンを備えて、渋滞にも対応できるようにしている。

 ウォータージャケットにオイルを流す方法は、冷却と共に防音装置となる。昔のホンダ・1300では空冷だが、ウォータージャケットのように二重壁を作り、そのなかに風を通して冷却効果と防音対策としていた。

 この他、スズキの持つエンジン技術を引き継ぎ、新冷却システムのSOCSを完成させている。自動車ではメリットよりデメリットが大きくなってしまうが、バイクの場合は空冷との組み合わせで考えると、有利なシステムを作ることが出来るかもしれない。

 放熱システムの効率も必要だが、これに「熱回生」システムを作ることが出来れば、エネルギー回生システムは大幅に進歩するものと言える。エンジン燃焼の効率を上げるより熱回生システムで回生できれば、エンジン熱効率競争が様変わりするかもしれない。熱回生では、蒸気機関でボイラー替わりをエンジンに努めさせると熱回生が出来るのだが、システムが複雑で余計なシステムを積む必要性が発生して、有効な回生システムとはならないようだ。

 近い将来、ガソリンエンジンは熱効率50%を超えてくるものと考えているだろう。それが60%を超えると、熱発電では原子力だけがエンジンの熱効率を上回れることになる。後は自然エネルギーとなるのだが、配電ロスや災害に弱いなどを考慮すると、自動車による個別発電は有力なインフラとなる可能性がある。よって、PHEVは現在避けることが出来ない仕様であると感じる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事