他人のアイデアは愛せないからダメ出しをするという話

2019年11月11日 18:28

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 先日「イノベーションを生み出すには」という講演を聞きました。世界の中での日本は、イノベーションが生まれない状況が顕著だそうです。

 イノベーションというのは、そもそも変わったことやおかしいこと、世の中にないことに取り組む仕事なので、社内の支援体制が脆弱になりがちだそうですが、日本で生まれにくい理由として、その時の話では、日本企業は「男性的文化」が強く、完璧主義で不透明さを嫌うところがあるからとのことでした。どんな良いアイデアでも、確実な見通しが立つまで認めないということでしょうが、そんな確実な見通しが立つものは、とてもイノベーションとは言えません。
 さらに「世代間ギャップ」が大きいことにも一因があるとのことでした。若手の意見を取り上げなかったり、アイデアをつぶしてしまったりするのでしょう。
 そういわれると、新規事業やイノベーションに取り組み責任者が、女性だったり若手だったりする会社の話を聞くので、そういう部分を避けようとする意図からなのかもしれません。

 そんなイノベーションに対する抵抗を抑える方法の一つとして、「アイデアをみんなで一緒に考えること」が大事だそうです。それは、自分の子供はかわいいが他人の子供はそうでもないのと同じで、自分のアイデアには愛着や思い入れがあるが、他人のアイデアはそこまで愛せないからだといいます。ついダメ出しや却下に傾いてしまいますが、それをみんなの我が事にすれば、潰されないで済むことが増えるのです。
 「発明は一人でできるが、イノベーションは一人ではできない」と言っていました。

 私は企業の人事制度構築で、同じような体験をします。検討に参加している人たちの間では、十分に納得されているものが、そこに参加していない人からは、苦情やクレーム、その他マイナスの指摘が多くなります。そんな苦情やクレームを持つ人を検討プロセスに参加させると、結論は結局同じということが多々あります。みんなで分かち合えば納得ができるのです。
 こんなことから、実は制度の検討結果より、その前段での「検討チームのメンバー構成」の方が、よほど重要だったりします。

 何か新しいことを進めようとすると、特に日本企業の場合は抵抗が多い感じがします。すでにあるものを徹底的に磨く“改善”の方が得意だともいいます。
 ただ、この時のイノベーションの話で一番印象に残ったのは、「ロウソクの明かりから電気の照明に変わったのはイノベーションだが、いくら改善を進めて完璧な最高のロウソクを作っても、しょせん照明には勝てない」という話でした。既知の物事の改善だけでは限界があるのです。

 技術でも、組織でも、会社でも、新しいことを怖がらず、見切り発車でもとりあえず進めていくような姿勢がないと、結局進歩しないのだと思います。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

著者プロフィール

小笠原 隆夫

小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役

IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、人事マネージャー職に従事する。2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名~1000名規模程度まで)を中心に、豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

会社URL http://www.unity-support.com/index.html

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