光合成で酸素が発生する仕組み解明 人工光合成触媒の開発に期待 岡山大など

2019年10月25日 12:03

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酸素分子を形成する反応における触媒部分の立体構造の変化。(画像:科学技術振興機構の発表資料より)

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  • 光化学系IIの全体構造(画像:科学技術振興機構の発表資料より)

 18日、科学技術振興機構、岡山大学、理化学研究所等の研究グループは、光合成において酸素分子が発生する仕組み等を解明したと発表した。この成果は、エネルギー問題、環境問題、食糧問題等の解決につながる人工光合成触媒の開発に重要な知見を与える可能性があるという。

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■ゆがんだイス型触媒とは?

 光合成には「明反応」と「暗反応」の2段階がある。明反応では光のエネルギーを使い、水を分解し、酸素を発生させながらATPとNADPHという2つの物質をつくり、「暗反応」では、このATPとNADPHを使って、二酸化炭素から糖質を合成する。

 このうちの明反応を担っているのが、光化学系I複合タンパク質と光化学系II複合タンパク質の2種の複合タンパク質だ。

 このうち後者の光化学系II複合タンパク質の中心には触媒があり、副産物的に酸素を発生させながら、水を分解して、水素イオンと電子を発生させている。この触媒はマンガン(Mn)を中心に構成され、その原子配列の立体構造がゆがんだイスに似ていることから、「ゆがんだイス型触媒」と呼ばれている。

 これまで、このゆがんだイス型触媒の立体構造等は明らかになっていたが、酸素分子が発生する仕組みや、水分子を取り込む経路、水素イオンが排出される経路等については明らかになっていなかった。

■固定ターゲット無損傷タンパク質結晶構造解析法

 そこで研究グループは、光化学系II複合タンパク質を、水を分解する途中の状態で急速冷凍。その状態を固定化した上で、これにX線自由電子レーザー施設「SACLA」が発振するフェムト秒単位の強烈なX線バルスを照射し、その立体構造を詳しく調べた。その結果、ゆがんだイス型触媒が水を分解する過程には5段階あるが、そのうちの3つの段階の立体構造を正確に捉えることに成功した。

 ゆがんだイス型触媒は水を分解する過程でその立体構造を変えるが、いわばその変化をコマ送りで正確に捉えたというわけだ。

 こうして研究グループは、酸素分子が発生する仕組み、水分子が取り込まれる経路、水素イオンが排出される経路を明らかにした。

 人工光合成が実現すれば、太陽光線を使い、水から水素イオンと電子を取り出し、水素ガス等さまざまな有用な化学物資を効率的に低コストでつくりだすことが可能となる。環境問題、エネルギー問題、食糧問題等の解決につながる可能性があり、研究グループでは、今回の成果は、このような人工光合成を実現するための触媒の開発に重要な知見を与えるものとしている。(記事:飯銅重幸・記事一覧を見る

関連キーワード理化学研究所(理研)岡山大学科学技術振興機構

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