「日本の社会人は自ら学ばない」の調査結果に思うこと

2019年10月17日 17:05

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 様々な調査結果によると、日本人ビジネスパーソンが自ら学ぼうとしない姿勢は、他国と比べて際立っているそうです。
 大学などで学ぶ25歳以上の社会人の割合は、OECD諸国の平均が20%程度であるのに対して、日本の場合は2%程度ということで、他国に比べて極端に少なくなっています。
 別の民間企業の調査では、日本の社会人の約半数に上る47.5%の人は、「自主的な学びを行っていない」と回答しているそうで、このことが日本企業の競争力を低下させていると指摘しています。

 そうなってしまう理由を考えると、やはり雇用の流動性が低いために、特定組織内での経験が重視され、自分の市場価値を意識したり高めたりする必要がなかったことがあるでしょう。
 「働かないオジサン」などと言われるシニア層や、会社にしがみつこうという姿勢が強いビジネスパーソンの姿を見ていると、学ぼうとしなかった結末が、結局自分に降りかかってきているようにも思えます。
 また、学んでいるように見える人も、きっかけは会社からの業務命令だったりする人が意外に多く、会社の中では学びを評価されているような人でも、本当の意味で「自主的な」という部分は少ないように見えます。

 私自身のことでいえば、決して胸を張って言えるレベルではありませんが、それでも知識を得たり、情報を集めたり、他の人の知見を聞いたり、学ぶための行動は常にしています。その理由は、それをしなければ仕事自体が成り立たないからです。
 ある分野の専門家を名乗る以上、それなりの知見を持っていなければ顧客は納得しませんし、知識はどんどんアップデートをしていく必要があります。仕事をする道具として、学ぶことが必須なのです。公式戦に向けて練習するという感覚です。

 これも独立したからという事情は大きく、もしも企業勤務のままでいて、日々の身近な業務の中で、学ぶことの必要性を感じなかったとしたら、たぶん多くの人と同じく、「自主的な学びを行っていない」と回答するうちの一人になっていたでしょう。

 日本のビジネスパーソンが学ばないのは、それで済んでしまう環境に置かれていることに、大きな原因があると思います。
 最近は20代、30代の若手社員の方が、資格取得や様々な講座の受講など、自ら学ぶ姿勢が強いと感じますが、それは会社を頼ってもあてにならない、いつかは転職するなど、自分のキャリアは自分で考えなければ生きていけないという意識を持っているからです。
 一度学ばなくて済む環境に身を置いてしまうと、再びスイッチを入れ直すのはなかなか難しくなります。その結果、「会社にしがみつく」以外の選択肢がなくなってしまうのでしょう。

 生涯にわたって教育と就労を交互に行う、「リカレント教育」を推進しようという動きも各所でありますが、結局は本人が必要性を感じて、自ら行動を起こさなければ何も始まりません。「勉強しないとまずい」と思わせる環境も必要でしょう。
 最近聞いて共感した言葉に、「金品や財産は奪われることがあるが、知識や経験は誰からも奪われない。だから人間は学ぶことをやめてはいけない」というものがありました。
 知識、経験、その他の学びが、人間の唯一無二の武器なのだと感じます。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

著者プロフィール

小笠原 隆夫

小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役

IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、人事マネージャー職に従事する。2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名~1000名規模程度まで)を中心に、豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

会社URL http://www.unity-support.com/index.html

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