ベトナム・メコン川のトビハゼは淡水域にも生息する 長崎大の研究

2019年10月6日 17:20

小

中

大

印刷

Periophthalmodon septemradiatusのオス(手前、婚姻色)とメス(奥)。(画像:長崎大学発表資料より)

Periophthalmodon septemradiatusのオス(手前、婚姻色)とメス(奥)。(画像:長崎大学発表資料より)[写真拡大]

写真の拡大

 トビハゼの仲間のほとんどは沿岸域に生息する。しかし、ベトナム南部メコン川に暮らすトビハゼの仲間(Periophthalmodon septemradiatus)は、河口から150キロメートル上流の淡水域にまで生息地を持っているということを、長崎大学の研究グループが4年に渡るフィールド調査の末に確認した。

【こちらも】魚はなぜ自分の子である卵を食べてしまうのか、長崎大の研究

 研究に参加しているのは、長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科のMai Van Hieu氏(2019年9月退学)、Tran Xuan Loi氏(海洋フィールド生命科学専攻3年)、山田明徳准教授(水産・環境科学総合研究科)、石松惇名誉教授(現JICAカントー大学支援プロジェクトオフィス)らの研究グループ。

 トビハゼはスズキ目ハゼ科トビハゼ属の総称である。干潟の泥上をはい回る魚として知られており、日本で有名なムツゴロウとは近縁種にあたる。

 今回の研究の対象となったPeriophthalmodon septemradiatusは繁殖期になるとオスが特徴的な青い金属光沢の婚姻色を示す。産卵のために河岸に巣穴を掘る性質を持ち(これは他のトビハゼやムツゴロウも同じである)、巣穴の中に産卵室を作るのだが、巣穴の中にはオスが持ち込んだ空気が溜まっており、その天上の壁に卵が産みつけられる。

 この種の産卵用巣穴はメコン川から淡水域までの全域で発見された。ならば全域で世代交代を繰り返しているのかというとそうではないらしく、分析の結果、すべての稚魚は高塩分の水域で孵化していることが明らかになった。さらに、遺伝子解析の結果として、河口に棲むものも淡水域に棲むものも遺伝的な違いはなかった。

 にも関わらず、上流150キロメートルの分布限界域で25ミリの稚魚が発見されており、どうやって遡上してきたのかなど、まだ多くの謎が残されているという。

 研究の詳細は、Scientific Reportsによってウェブ上で発表されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワードベトナム遺伝子

広告