北海道・三陸の蟹「オオヨツハモガニ」を新種と確認 東大の研究

2019年9月21日 11:01

小

中

大

印刷

新種オオヨツハモガニの最終脱皮後の雄成熟個体。(画像:東京大学発表資料より)

新種オオヨツハモガニの最終脱皮後の雄成熟個体。(画像:東京大学発表資料より)[写真拡大]

写真の拡大

 藻場に生息する、モガニという種類の蟹がいる。これまで日本全国にヨツハモガニが分布すると認識されていたのだが、今回の研究で、日本海側は富山湾より北、太平洋側はいわきより北の海域において分布するものはヨツハモガニとは別種であることが理解され、これをオオヨツハモガニと命名、新種として発表した。東京大学の研究である。

【こちらも】東大、未知の共生形態をとる新属新種のイソギンチャクを発見

 研究に参加しているのは、東京大学大気海洋研究所の大土直哉特任助教と河村知彦教授。

 モガニは世界に分布する小型の甲殻類である。北米沿岸に棲むものについては食糧網におけるその重要な役割が知られているが、日本ほか北東アジアでは研究があまり行われておらず、未知の部分が大きい。

 その少ない研究を紐解くと、1938年、岩手県で採取されたヨツハモガニの標本について、伊豆半島などの南方で採取された標本よりも大きく、また甲の形状やハサミの歯列などに違いがあることが指摘されていた例がある。しかし、これは地理的変異のひとつであるとみなされ、当時は新種であることは理解されなかった。

 研究グループは、東日本大震災後の海洋生態系調査の過程において、この1938年の論文に登場する「大型のヨツハモガニ」が多く見られることに気付いた。そこで、従来種であるヨツハモガニと近縁種ヨツハモドキについて詳しく再調査し、「大型のヨツハモガニ」についてその分類学的位置付けを再考することになった。

 多数の標本を分析した結果として、この大型のヨツハモガニは既知のどのモガニとも異なる形態的特徴を持ち、またその分布域として、日本北部には既知種のヨツハモガニは生息しておらず、大型のヨツハモガニだけが生息していることが分かった。

 そこで、これを新種と結論付け、新種「オオヨツハモガニ」と命名、発表したものである。

 研究の詳細は、オンライン版のZootaxaに発表されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワード東日本大震災東京大学