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貼るだけで今日のお薬は完了! 変わる「貼り薬」の姿

2019年9月5日 15:53

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 病院で処方される薬には大きくわけて内服薬(口から飲む薬)と外用薬(塗る、貼るなどの薬)がある。貼る薬として真っ先に思いつくのは筋肉痛や打撲のときに使用する「湿布」だろう。気軽に使えて副作用も少ない。

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 しかし現在「貼り薬」は「飲む薬」と同等に効果を持ち、様々な病気の治療に用いられるようになっている。ただし副作用も内服薬と同等のため使用にも注意が必要だ。これらの新しい貼り薬はどのような特徴を持っているのだろうか。

 人間の皮膚は、角層、表皮、真皮、皮下組織からなっている。本来の皮膚の働きは、細菌や有害物質から体を守りバリアとなることなので、ほとんどの物質は体内に吸収されない。皮膚を通り抜けていくには、分子が小さく(分子量500以下)、透過しやすい性質(角質は脂溶性、さらに内側は水溶性)を持っていることが必要だ。ちなみに砂糖の分子量は18、コラーゲンの分子量は約10万である。

 局部の炎症や痛みを抑える湿布のように薬の成分が体の一部にとどまるほうが都合がよい薬もある。これを局所作用型外用剤という。治療したい場所のみに効果的に作用し、全身の副作用は起きにくい。局所作用型外用剤は、シートに膏体(薬剤+粘着剤)が付いているシンプルな構造をしている。

 一方、全身に効果をあらわす薬は、皮膚に浸透し血管に達し、さらに血流にのって全身で作用する。内服薬と同程度に全身への効果を持つ貼り薬を、経皮吸収型製剤という。

 高血圧、心不全、認知症、頻尿、統合失調症などの薬が開発され、実際に処方されている。持続的な効果が必要なため、薬剤と皮膚の間の放出制限膜が薬の移動をコントロールする。効果は内服薬と同じなので、他の薬との飲み合わせや副作用には十分な注意が必要だ。

 経皮吸収型製剤を使う利点は様々だ。高血圧、心不全、頻尿、認知症などの薬は、高齢者に多く使用されている。高齢により嚥下能力が落ちている場合、これまでは注射や点滴という方法で薬を投与するしかなかった。

 しかし貼る薬なら痛みもなく自宅で使用できる。副作用がでたときは薬を剥がせばすぐに薬の吸収を止められる。貼り薬に日付を書くなどの工夫で使い忘れや重複した使用も減らせる。

 今後高齢化が進んでいく中、貼り薬による治療はさらに必要とされ、様々な病気の治療に使われていくだろう。「貼るだけ」で手軽だからこそ、使用法をしっかり守って安全に使っていくことが大切だ。(記事:室園美映子・記事一覧を見る

関連キーワード認知症高齢者細菌統合失調症

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