コールセンターの音声情報をAIでビジネスに生かす

2019年8月26日 11:15

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 企業のコールセンターに集まる顧客の声をビッグデータ化し、ビジネスに生かす動きが進んでいる。コールセンターは多くの人員を要するうえ、顧客からのクレーム対応は精神的負担も大きく離職率も高い。そのため、これまで企業にとって課題の多い部署の一つとされてきた。しかし、そこに集まる音声データは“ユーザーの声”の宝庫でもある。

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 これに着目したのが、産業技術総合研究所(産総研)の技術移転ベンチャー、Hmcommだ。Hmcommは、産総研のAI音声認識技術を社会実装化させたシステム“VContact”を、コールセンター向けに提供している。

 VContactを使うと、通話の音声が逐次テキスト化されるため、通話終了時点で内容の書き起こしが完了している。内容の要約も自動で作成され、会話を分析して登録しておいたFAQから問い合わせ内容への回答候補も提示する。これにより、オペレーターの負担が大幅に軽減されるだけでなく対応の統一化も図れる。また、トラブル発生時に、それまでのやりとりを上司が瞬時にテキストで確認できるのもメリットの一つだ。

 コールセンターの会話の音声認識は簡単ではない。マイクを通して話すオペレーターの音声はクリアに拾えるが、顧客側の通話環境は様々だからだ。通話品質の違いや背後の騒音などにシステムを順応させなければ音声認識精度は下がる。VContactの導入にあたっては、実際にコールセンターで実証実験を行い、最適化が図られた。

 Hmcommは、現在オペレーションの自動化にも挑戦している。機械のみで応対するには、通話相手の声を正しく認識し、正しく返答しなければならない。そのため、AIによる音声認識・言語処理の更なる精度向上が進められている。コールセンターの徹底的な効率化を進め、将来的には3~5割の人員を削減できるようにする、というのがHmcommが抱く展望だ。

 コールセンター向けにAI音声認識システムを提供している国内企業には、Hmcomm以外にアドバンスト・メディア、東芝、丸紅情報システムズなどがある。各社が認識精度や機能性などの改良を図る中、どこまで自動化が進むか注目されている。

関連キーワードビッグデータ人工知能(AI)産業技術総合研究所(産総研)

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