生命誕生の時期にも影響か? 後期重爆撃期は従来予測よりも前に 米大学の研究

2019年8月18日 20:04

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地球に巨大な小惑星が衝突したイメージ図 (c) NASA with modifications by Stephen Mojzsis

地球に巨大な小惑星が衝突したイメージ図 (c) NASA with modifications by Stephen Mojzsis[写真拡大]

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 太陽系が形成される過程で、小惑星等が衝突を繰り返し現在の惑星が完成したと考えられている。惑星が完成したのちにも、地球等の惑星にはいん石が多数衝突した。それが「後期重爆撃期」と呼ばれる38億から41億年前の時代だ。この後期重爆撃期が従来の予想よりも早いという研究が、米大学によって報告された。地球上に生命が誕生した歴史も書き換えられる可能性があるという。

【こちらも】東工大など、生命誕生に関する新たな仮説を提唱

■意見が分かれる後期重爆撃期の年代

 数多くのいん石が地球に衝突した後期重爆撃期に関しては、研究者のあいだでも意見が分かれている。その契機となったのが、1960年代後半から1970年代前半にかけて実施されたアポロ計画だ。収集された月の石の多くは39億年前に形成されたと推計された。このことから、後期重爆撃期は39億年前と推計される。

 その一方で、39億年前より以前に、地球に海が存在した証拠が次々と明らかになっている。後期重爆撃期には地球にも多数のいん石が到来したことから、この2つの出来事を整合的に説明する理論が難しいという。

■放射年代測定を狂わせたいん石の衝突

 後期重爆撃期が存在したという証拠は、アポロ計画で石が収集された月の「インブリウム・ベイスン」と呼ばれる台地以外のクレーターや、火星や水星上のクレーターのパターンを精査しても、見つけるのが難しいという。

 そこで、米コロラド大学ボルダー校と東京工業大学地球生命研究所(ELSI)の研究グループは、別の情報源から後期重爆撃期の推計を試みた。地球に衝突したいん石のデータベースから年代を編集した結果、45億年よりも若いいん石の衝突が記録された小惑星を発見できなかった。

 この事実と照合する新しい仮説を、研究グループは立てた。大量のいん石が惑星に衝突した時期は確かに存在した。しかし、非常に大きな衝突で岩が溶けたため、放射年代測定に用いられる原子の情報が狂ったという。

 このような「時計」のリセットは、木星や土星、海王星に原因があるのだと、研究グループは考える。これらの巨大惑星は現在よりもずっと近接した場所で形成された。コンピューターシミュレーションによると、44.8億年前にこれらの天体が現在の位置に向かって移動を開始した。この際、これらの天体が地球や月にいん石の衝突をもたらしたのだと予想した。

■生命誕生の歴史の書き換え

 研究グループの立てた仮説は、地球上の生命の進化がいつ始まったかに関する示唆を与える。研究グループによると、44億年前には生命の誕生を可能にするほど地球は穏やかだったかもしれないという。38億から39億年前には最初の生命が誕生していたと、研究グループは考える。

 研究の詳細は、米天文物理学誌Astrophysical Journalにて12日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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