産総研、原子の振動を直接電子顕微鏡で観察 幅広い分野の発展に期待

2019年8月13日 11:50

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開発された世界最高レベルのエネルギー分解能を持つ新型電子顕微鏡(画像: 産業技術総合研究所の発表資料より)

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 原子の振動を格子振動というが、この振動=波は量子論的に見ると粒子のような振る舞いもするという実に厄介な存在である。

【こちらも】原子・分子が動く様子を“直接”観測することに成功―東工大・石川忠彦氏ら

 従来は格子振動については、平均的な信号が得られるに留まっていた。つまり波の状態をリアルに捉えるというよりはアバウトにだいたいこんなイメージです、というような捉え方しか出来なかったのである。

 産業技術総合研究所(産総研)による13日の発表によれば、格子振動で原子核と電子の位置がわずかにずれることを利用して、格子振動のエネルギーと運動量を計測する技術の開発に成功したという。

 従来格子振動については理論が先行し、現象を直接観察することが出来なかったが、この技術の開発により、熱電素子や光電子デバイス、超電導体などの研究開発への貢献が期待される。

 格子振動のエネルギーと運動量を正確に計測することで異なる波の成分を抽出することが可能になる。これによって例えば、熱伝導に影響を与える波の成分だけを取り出し、ナノ材料の熱物性を議論することが出来る。

 熱電素子とは、熱と電気の物理的な関係に起因する現象を利用した素子で、温度センサーとして用いられる熱電対や電子冷却に用いられるペルチェ素子などがその代表例である。

 ペルチェ素子とは、2種類の異種金属(または半導体)の両端を接続し電流を流すと、両端に温度差が生じるペルチェ効果を利用したもので、精密機器やワインセラーの冷却に用いられている。

 光電子デバイスとは、光と電気の物理的な関係に起因する現象を利用した素子で、発光デバイスや光検出器、撮像デバイスなどがある。自動ドアのセンサー、照明用のLED、デジタルカメラなどなど適用範囲は広い。

  超電導は山梨に実験線を持つリニア新幹線にも応用されている近未来技術ではおなじみの存在である。

  今回の産総研の発表は、私たちの生活を便利にしつつある近未来技術の発展に大きく貢献することが期待されている。各種デバイス性能の飛躍的向上だけでなく、劇的なコストダウンにも期待がかかる。

 思えば子供のころ、ウルトラセブンに出てくるウルトラ警備隊員が、腕時計型のテレビ電話を使いこなすシーンを何度も見てきた。現在スマホはそれにかなり近づいた技術だが、まだ腕時計でテレビ電話は無理である。

 だが、今回のような報に触れると、ウルトラセブンに出ていた未来技術もそう遠くない将来、実現して行くだろうと確信が持てるようになってくる。まさか、当時のウルトラセブンの制作スタッフもこんな時代が本当に到来するとは思っても見なかったことだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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