会社の「人事」のイメージのいろいろ

2019年7月25日 19:39

小

中

大

印刷

 ある会社の調査で、社員ヒアリングを行ったときですが、金融機関から転職してきた人がいました。

【こちらも】「評価に正解なし」は人の本能にも通じているという話

 その人に聞いた「人事」に対するイメージは、自分の給料、家族構成、評価、その他個人的な情報をみんな知っていて、人の人生を左右するような大きな権限を持っていて楯突けない、できれば遠ざけたい、付き合いたくない、煙たい存在の人たちだそうです。
 そういえば、以前別の金融機関出身の人と話した時も、同じようなことを言っていましたので、共通認識としてそういうとらえ方があるのでしょう。わりと古くからの組織形態や思想を踏襲しているところでは、こういう支配と被支配の関係のイメージなのだと思いました。

 またある人は、会社の「人事」は「リストラ担当部門」で、自分たちには火の粉が降りかからない人たちだといいました。
 実際にそういうリストラ体験があるのか、それとも他人のことを目にしただけなのかはわかりませんが、その人にとってのイメージでは、「人事」は会社の手先で自分たちの仕事を奪う、嫌な存在には違いありません。同じような支配と被支配の関係が、このイメージの中にあります。

 その一方、若手社員が多くて伸び盛りのある会社では、「人事」は社員の働きやすい環境をどう作るかを考えることが重要で、そのためにクリエイティブさや企画力が必要だと言っています。
 常に社員も意見を言い、お互いが議論しながら、一緒により良い職場環境を作ろうという感覚だそうです。役割は違いますが、現場との距離が近く、人事に対しては権威部門のような意識もなく、フラットな関係を築いています。

 私が経験してきた中では、現場と直接やり取りをして、様々な形でコミュニケーションをとりながら仕事を進めるスタイルだったので、「人事」と他部門との間に、上下があるような関係性ではありませんでした。当時はそれがどこでも普通と思っていたので、その後金融機関の人から言われたような「人事」のイメージを聞いて、結構驚いた記憶があります。

 最近の多くの企業での「人事」の位置づけとして、少なくとも私の周りでは、お互いが敵対的であったり、煙たがられたりする存在ではなく、現場と近い関係で動いている場合がほとんどです。
 理由は単純で、そういう関係でなければ「人事」としての仕事が進められないからです。「人的資源の活性化」が人事の主業務ですが、「人的資源」の当事者である社員との関係が悪くては、活性化などできる訳がありません。

 かつては「会社の意思のもとにやらせる」という発想から、強制してでもいうことを聞かせる形になり、そのために人事の権威が強化されたのでしょうが、強制して無理やりやらせることは、内面に反感を生んで、その人の動き自体が鈍くなります。

 ただ一方的に作り出された支配と被支配の関係は、組織づくりの中でのメリットは少ないです。何よりも現場からの協力は得られません。
 私は「人事」と「現場」が信頼関係を持って、お互いが協力し合うことが最も重要と思っています。「人事」を権威部門にしてしまうことは、特に今となっては得策ではありません。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

著者プロフィール

小笠原 隆夫

小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役

IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、人事マネージャー職に従事する。2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名~1000名規模程度まで)を中心に、豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

会社URL http://www.unity-support.com/index.html

記事の先頭に戻る

広告