セキュリティのプロが挑む高齢者時代

2019年7月11日 11:43

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 綜合警備保障(以下、ALSOK)がコーポレートブランドをSOKからALSOKに変えたのは、2003年。株式公開早々のこと24時間365日いつでもセキュリティOKの意味である「ALways-Security-OK」を短縮したもの。

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 そんなALSOKが高齢化時代のいわばセキュリティとして高齢者をビジネスの対象とした入り口は、2010年11月。「ALSOKシルバーパック」の販売。具体的な中味は以下の通り。

(1)緊急通報サービス: 具合が悪くなった時などに非常ペンダントを押すと、ガードマンが駆けつけ必要に応じた対応を行う。緊急情報登録サービス: かかりつけの病院や既往症を登録。「(1)」に役立てる。

(2)火災監視サービス: 火災に伴う温度変化や煙の発生を監視し、対応を行う。

 上記を主軸にオプションとして例えば「見守りの対象」となる高齢者の日常の動きをセンサーで感知し、離れて暮らす家族等に「様子」をメールで送るサービスなども付加されている。

 こうして始まった事業は、時の経過とともにより緻密になっている。13年に発売が始まった「HOME ALSOK」のラインアップとして同年9月に販売を開始した「HOME ALSOK みまもりサポート」などその好例。

 コントローラーの「緊急」ボタンを押すだけでALSOKガードセンター(監視センター)に通報が届き、24時間365日いつでもガードマンが駆けつける。必要に応じ119番通報などが行われる。またコントローラーの「相談」ボタンを押すと「ALSOKヘルスケアセンター」のスタッフと、24時間365日ハンズフリー通話が可能で(看護師に)健康相談ができる。

 ちなみにコントローラーは文字・ボタンが高齢者にも分かりやすい大きさに、デザインが施されておりかつ聞き取りやすい周波数帯に設定されている。

 そしてALSOKが介護事業に本格的に進出したのは14年。M&Aで一気に拡大している。19年3月末段階で「訪問介護:拠点71拠点」「有料老人ホーム:46施設」「グループホーム:83カ所」「デイサービス:28カ所」「居宅介護支援事業所:51カ所」「訪問看護:4拠点」。利用者総数は約1万800人。

 加えて興味深いのは、訪問医療マッサージ。かかりつけ医の「同意書」を前提に、健康保険で国家資格を有するマッサージ師の治療が受けられる。目下、全国に23拠点を配し累計約5500人がマッサージを受けている。

 また介護事業の今後について至20年3月期の中計では「高齢者市場における事業拡大」-「高齢者向けサービスの更なる拡大→セキュリティ事業と介護事業の連携強化」が謳われている。

 そしてその方向性を「ALSOK統合レポート2018」は、こう示している。「健康寿命の延伸や身体機能改善に社会の関心が高まり、介護保険制度上も自立支援重視の方向が示される中、今後も更なるサービス体制の充実に向け、医療機関との連携強化や(前記の訪問医療マッサージを事例としてあげ)リハビリ機能強化に取り組む」と指摘。前向きな姿勢を強調している。

 セキュリティ大手企業の高齢者(介護)ビジネスの今後を、期待をもって見守りたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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