天体が衝突する際に発生する蒸気雲の画期的な化学分析手法 千葉工大の研究

2019年7月6日 09:10

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千葉工業大学の高速度衝突実験装置の概略図。(画像: 千葉工業大学の発表資料より)

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 天体どうしが衝突する際の速度は秒速数kmを超え、衝突の瞬間に運動エネルギーが熱エネルギーに転換される。その熱によって天体内部にあった揮発性成分が蒸発する。地球が誕生した際にも、地球に多くの天体が衝突し、その際に発生した揮発性成分が元になり、現在の大気が形成されたと考えられている。

【こちらも】地球への天体衝突、2億9千万年前に激増か 恐竜と同じ末路を避けるには

 この揮発性成分のことを衝突脱ガスと呼ぶが、実験的に天体に見立てた物体どうしの衝突を起こさせ、その際のガスを分析することで、惑星誕生時の謎の解明に役立てることができる。従来、高速で物体を発射できる二段式軽ガス衝撃銃を用いた実験は、銃から発生するガスで衝突脱ガスが汚染されるために、困難とされてきた。

 今回、千葉工業大学の研究チームは、汚染ガス濃度を0.1%程度まで低減し、衝突脱ガスの分析を可能とする2バルブ法を開発した。その原理は、ガス圧で加速された物体の通り道から完全に汚染ガスを遮断し、さらに銃内に不活性ガスを送り込んで、銃から発せられる汚染ガスの流出もシャットアウトするものである。

 衝突脱ガス実験は、天体どうしの衝突現象と比べると、スケールが小さいため、実際の天体どうしの衝突をそのまま再現できるわけではない。室内実験で求めた脱ガス率を惑星スケールに応用するためには、衝突脱ガスのメカニズムを理解したうえで、データを補正する必要がある。

 このデータ補正を適切に実現させるためには、そこに内在する法則性(研究者たちはこれをスケーリング則と呼んでいる)を見出す必要がある。スケーリング則を見出すために、衝突脱ガス実験のほか、コンピュータシミュレーションで天体の大きさや衝突速度の条件を色々な組み合わせで再現し、衝突時のエネルギーを試算する試みも別の研究者によって行われている。

 つまり、正確に衝突脱ガスの成分を分析する技術と、実験室的衝突によって得られたデータを惑星スケールに展開する際のスケール則の解明を組み合わせて初めて、惑星誕生の謎を探る研究の信頼性を高めることが可能になる。

 今回千葉工業大学で開発された技術は、はやぶさ2が小惑星リュウグウから持ち帰る予定の、微粒子の衝撃変成(どのくらいの速度でどのくらいの天体どうしが衝突したのか)の解明に役立つという。2020年末のはやぶさ2の帰還が今から楽しみである。(記事:cedar3・記事一覧を見る

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