主要建設企業、2018年度は民間工事が過去10年で最大の伸びに 帝国データバンク調査

2019年6月27日 12:05

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 帝国データバンクの調査によると、主要上場建設会社では民間工事が伸びたことから、2018年度は多くの企業で好調な受注となったことが分かった。

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■民需が好調で受注高アップ

 25日、帝国データバンクが「2018年度主要上場建設会社58社の受注・業績動向調査」を発表した。これは、主要上場建設会社の2018年度決算短信から、単体ベースの受注高などを集計・分析したもの。また上場していない竹中工務店についても、売上規模を勘案し分析対象に加えている。

 個別受注高の判明している48社の2018年度における受注高合計は、前年度比8.6%増の14兆4,123億6,300万円だった。受注高が増加した企業数は35社、減少した企業数は13社。第2四半期時点では、前年同期比で4.9%減だったが、首都圏を中心とした再開発案件などの旺盛な民需が受注額を押し上げ、通年では大幅な伸びになった。

■受注高増加率トップは愛知県の徳倉建設

 受注高の増加率が最も高かったのは愛知県の徳倉建設(受注高:556億9,000万円、前年度比増加率:83.4%、以下同じ)で、土木工事で受注金額を伸ばした。ついで、三井住友建設(5,651億6,500万円、60.9%増)、東亜建設工業(2,154億5,000万円、47.3%増)、鉄建建設(2,278億200万円、34.8%増)、奥村組(2,688億2,600万円、33.0%増)など。

 反対に減少率トップは東京都の五洋建設(5,013億5,900万円、25.0%減)で、前年度に海外での大型工事を受注した反動減となった。ついで、巴コーポレーション(251億9,000万円、17.1%減)、大末建設(622億4,100万円、12.9%減)、東急建設(2,630億5,300万円、9.7%減)、西松建設(3,403億200万円、8.0%減)などとなっている。

■民間工事の伸び率が過去10年で最大に

 受注高のうち、官民の内訳が判明している32社分の受注高では、官公庁工事は前年度比0.6%の2兆5,221億5,000万円。東京オリンピック関連の再開発事業がピークアウトを迎えたことから、2年連続で受注高が減少した。その一方、民間工事は同14.3%増の8兆3,791億5,700万円だった。これは過去10年で最大の伸び率となり、首都圏の大型再開発案件などを背景に、スーパーゼネコンが大きく受注を伸ばした。

■利益率は6年ぶりに低下するも高水準を維持

 主要上場建設会社58社の連結売上高合計は、前年度比5.5%増の17兆4,381億200万円だった。増収の企業数は39社、減収の企業数は19社。また売上高利益率は12.3%で同0.3ポイントの低下。利益率が上昇したのは28社、低下したのは30社。利益率の低下は、2012年度以来6年ぶりだったが、リーマン・ショック後の利益率が6%程度だったことから、「引き続き利幅は高水準を維持」しているという。(記事:県田勢・記事一覧を見る

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