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ライトセイル2号のイメージ。(c) Josh Spradling / The Planetary Society[写真拡大]
SpaceXは、「Falcon Heavy」ロケットを6月24日(現地時間)、フロリダから打ち上げる予定だ。今回は、「ソーラーセイル(太陽帆)」のみを動力とする小さな人工衛星が搭載される。この衛星は米国の惑星協会が開発を進めている「ライトセイル2号(LightSail 2)」と呼ばれるもので、2009年11月に計画が発表されていたが、打ち上げ予定が延び延びになっていた。
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「ソーラーセイル」とは、光を反射する帆で、これに光子を当ててその反力を推進力とする仕組みである。ライトセル2号と似た先行する試みに、JAXAのイカロスがあるが、イカロスは太陽光電池パネルで集電し、そのエネルギーで稼働するイオンエンジンと「ソーラーセイル」を併用するハイブリッド型であった。
ライトセル2号は、「ソーラーセイル」のみを推進力とする機体として世界で初めて宇宙に送り出される。光子の反力を推進力として宇宙を航行するアイデアは、かなり昔から存在しており、古くはヨハネス・ケプラーもそのアイデアを持っていたと言われている。
「ソーラーセイル」アイデアが古くからあったにもかかわらず、実用化されなかった最大の理由は、薄く軽く強度があり反射性に富んだ宇宙での使用に耐える素材が、昔は存在しなかったためである。
現代科学を使えば、このような条件を兼ね備えた素材を準備することはそれほど難度の高いことではない。イカロスの「ソーラーセイル」は、ポリイミド製で膜厚7.5μm、14m四方の正方形であったが、ライトセル2号では、4枚の超薄膜マイラー製の32平米の「ソーラーセイル」が折り畳まれており、軌道投入から数週間後に展開を行う。
「ソーラーセイル」による推進力はセイルの面積と光子圧力に比例するが、その推進力はいったん宇宙空間を航行する軌道に乗せてしまえば、燃料のようなものを消費することがないため永遠に維持できるだけでなく、時間をかければかけるほど光速に近づけることができるメリットがある。
このように燃料で推進するロケットとは全く異なる原理で宇宙空間を航行する「ソーラーセイル」搭載機は、地球からかなり遠くの宇宙へ向けて、つまり太陽系外はおろか数万光年の銀河かなたを目指した航行も可能である点に、無限の可能性を見出している科学者も多い。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
関連キーワードロケット、SpaceX、宇宙航空研究開発機構(JAXA)
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