トヨタ、業績絶好調の中 (2) 固定費削減が急務 「間接費」の内訳を掴め!

2019年6月18日 09:38

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 業績が絶好調の現在、トヨタ自動車は、労働組合員でない課長以上管理職約9800人のボーナスを減らすとした。今夏ボーナスだが、前年比4~5%減らすとのことだ。業績好調の中、トヨタは何を焦っているのであろうか?

【前回は】トヨタ、業績絶好調の中 (1) 管理職夏のボーナス削減 「創業家経営者の落とし穴」か?

 社会常識的には、業績が好調の時、ボーナスを減らすのは許されない。それは、先行投資が必要な時と言えども、労働者の合意を得ることは不可能だからだ。働いて実績を残したのだから、当然に配分を与えねばならない。それを、労働組合員ではない管理職と言えどもボーナスを減らす判断は、「ボンボン社長」ととられかねないだろうか。ボーナスは結果に対する報酬で、これから先の資金手当ては経営陣の責任だからだ。

■固定費を削減せよ!

 企業の経費には、変動費(材料代など)と固定費(定時人件費など)がある。サプライチェーンの構築において混流生産、スウィング生産などを進めている理由は、固定費も「売上げに連動して変動させる」、あるいは「売上げに対してきわめて低い水準に保つ」ことをトヨタは考えているからだ。それは、リーマンショック時の反省と、グーグル、テンセントなどとの競合に備えることにもつながる。

 またグーグルのようなソフトサービス会社(IT企業)は、極めて固定費が低い。人員をほぼ自由に変動させられるため、事実上、固定費が少ない強みがある。それに対して「設備産業」である自動車産業では、売上げに対応して1~2年で生産設備を変動させることは事実上不可能だ。

そこで世界の生産設備の稼働率を平準化する取り組みが、モジュラー設計、サプライチェーンの構築などによって取り入れられているのだが、この自動車産業の変革では対応できないかもしれないと、トヨタは恐れているのだろう。つまり産業体質からも考えて、グーグルなどのIT企業に対して競争力を維持できないと考えているのかもしれない。最悪、資本の支配を受け、下請け化されてしまう危険だ。

■コスト構成を把握しろ!

 そのため、間接費の削減にも取り組んできており、事務部門・営業部門の効率向上には、「見える化」など流行りの言葉遣いだが、業務改善が急速に行われている。純粋電動カー(BEV)が主体となっていくと、生産拠点の稼働率が落ち、リストラの嵐がやってくることになるのであろうか?

何しろエンジンやミッションと言った主要メカニカル部分がなくなるため、人員削減は避けられないとみられる。自動車産業は、少なくとも将来の労働人口の受け皿にはなりえない。

 生産部門では部品を外注するにも、加工を把握し、コスト構成を掴んでから発注する努力をしている。しかし宣伝活動などでは、電通などに丸投げの状態だった。これはよくあることで、効果のないイベントに必要もないコストをかけてしまうこととなる。社員に「宣伝のプロ」がいないのであり、「ぼったくり」状態となる危険があるのだ。これでは間接費の削減は思うようにいかない。だから間接部門でも、作業研究が必要なのだ。

 この作業を進めなければならない時期に、業績が良いのにボーナスダウンは問題があるのではないか。従業員も、管理職であっても「人の子」だ。「忠誠心を無くす」「モチベーションが落ちる」、最悪「サボタージュ」などの弊害が考えられる。「経営者の危機感」と「従業員の危機感」とは、別の問題なのだ。豊田章男社長が、「所詮はボンボン経営者」との評価にならないことを祈る。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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