月の表と裏の違い 準惑星の衝突が原因 マカオ科技大学の研究

2019年5月25日 14:11

小

中

大

印刷

米月周回無人衛星「ルナー・リコネサンス・オービター 」が撮影した月の裏側 (c) NASA/GSFC/Arizona State University

米月周回無人衛星「ルナー・リコネサンス・オービター 」が撮影した月の裏側 (c) NASA/GSFC/Arizona State University[写真拡大]

写真の拡大

 月の表側と裏側では、地形が大きく異なることが知られている。月誕生のメカニズムは諸説あるが、両側の地形が違う原因は、明らかではなかった。マカオ科技大学の研究グループは、準惑星が月に衝突したことで両側の地形の違いが生じたと報告している。

【こちらも】月のクレーターが明かす地球への隕石衝突が少ない「空白の時期」の謎

■月の裏側のミステリー

 月の裏側の様子を初めて明らかにしたのは、1959年にソ連(現在のロシア)が打ち上げた月探査機ルナ3号だ。ルナ3号からの撮影によって、月の裏側は表側と異なることが判明した。月にはクレーターの少ない「海」とクレーターの多い「高地」という2種類の領域があるが、表側に多い海の対し裏側にはほとんどない。また裏側は表側よりも標高が高く、地殻も厚いという。

 月の表側と裏側の違いを説明する2つの有力説が存在する。1つ目は、地球の周辺を公転する2つの衛星が合体して月が誕生した際に、両側に違いが生じたとする説だ。2つ目は、太陽の周りを公転していた準惑星が月と接触したとする説である。

■着目したのはNASAによる月探査機からの情報

 研究グループは、米航空宇宙局(NASA)が打ち上げた月探査機GRAILが2012年に明らかにした、月の構造に関するデータを活用した。このデータには、裏側の地殻の厚さやさらに物質層が潜んでいるか等が含まれている。

 研究グループが特に注目したのが、重力データである。これにより、地殻の構造が明らかになるという。研究グループがコンピューターシミュレーションにより月が誕生する2つの説を検証した結果、2つのシナリオが導き出された。1つは直径780キロメートルの天体が時速2万2,500キロメートルで月に衝突したというシナリオ、もう1つは時速2万4,500キロメートルで直径720キロメートルの天体が衝突したというシナリオだ。それぞれのシナリオでも、月の両側が非対称なことが説明可能だという。

 月の非対称性を説明する2つの有力説の成否を決めたのが、月に存在する物質である。タングステンのような珍しい元素や、カリウムやリンの同位体の量は、月と地球の表面で異なる。この違いが2つの衛星による合併説では説明されないが、研究グループが導き出したいずれのシナリオでも説明可能だった。

 「月のように、両面の異なる惑星はいくつか存在する。今回の成果が月以外の天体の解明にも役立つだろう」と、本研究論文の掲載誌の編集長である、米ケース・リバース・ウエスタン大学のSteve Hauck教授は述べている。

 研究の詳細は、米地球物理学誌Journal of Geophysical Research: Planetsにて20日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

関連キーワードNASA

広告

広告

写真で見るニュース

  • 新型「718スパイダー」(画像: ポルシェの発表資料より)
  • NASAによるエウロパ表面のイメージ。左側の黄色がかった部分が、塩化ナトリウムの濃度が濃い部分。(c) NASA/JPL/University of Arizona
  • A321XLRのイメージ。(画像: エアバスの発表資料より)
  • 水推進エンジンを搭載した実証衛星(画像: 東京大学の発表資料より)
  • 「vibes.」のイメージ。(画像: Reviveの発表資料より)
  • 夏ぶたチーズ4。(画像:日本ピザハット発表資料より)
  • ロッテリア クラシック チリミート。(画像:ロッテリア発表資料より)
  • 渋谷パルコのイメージ(竹中工務店提供、パルコ発表資料より)
  • プロキシマケンタウリを周回するプロキシマケンタウリbのイメージ図。(c) ESO/M. Kornmesser
 

広告

ピックアップ 注目ニュース