月のクレーターが明かす地球への隕石衝突が少ない「空白の時期」の謎

2019年1月21日 20:11

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月周回衛星ルナー・リコネサンス・オービターが月のクレーターを年齢を観測する様子を示した模式図 (c) Rebecca Ghent, University of Toronto, and Thomas Gernon, University of Southampton

月周回衛星ルナー・リコネサンス・オービターが月のクレーターを年齢を観測する様子を示した模式図 (c) Rebecca Ghent, University of Toronto, and Thomas Gernon, University of Southampton[写真拡大]

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 隕石が惑星や衛星に衝突して生まれるクレーター。このクレーターが地球上でほとんど発生しなかった「空白の時期」が存在する。従来、クレーターが浸食されたことが原因だと考えられてきた。ところが18日、Science誌にて、月のクレーターを調査し空白の時期が存在した謎を解明する研究が報告された。

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■地球上の隕石衝突と月とのつながり

 研究を発表したのは、カナダのトロント大学の研究者などによる研究グループだ。

 地球への隕石の衝突は、ある時期を境に急激に増大した。600万年前から300万年前の間、地球上への衝突の痕跡がほとんど存在しなかった。研究者はこの原因を、地球上で発生する浸食により、この期間に生じたクレーターが消失したと考えた。

 今回発表された研究によると、隕石の衝突による痕跡が少ない時期が存在するのは浸食のせいではなく、まさに地球への隕石の衝突が少なかったからだという。

 研究グループが着目したのが、月に存在するクレーターだ。月と地球との距離が近いため、月への隕石の衝突に呼応して、同種の衝突が地球にも発生したのだと考えられる。月のクレーターを観察することで、約290万年前にクレーターを形成する衝突率が急激に増大していることを研究グループは突き止めた。これは、同時期に地球上にも隕石の衝突が急増したことを意味する。

■温度でクレーターの発生時期を推定

 クレーターの発生した時期を決定するのに、米航空宇宙局(NASA)が運営する月周回無人衛星ルナー・リコネサンス・オービターに搭載された装置を研究グループは利用した。同衛星から取得した温度のデータを活用し、月の表面に存在するクレーターの発生時期が推定された。

 巨大な岩は時間の経過とともに、小さな隕石の衝突により破壊される。そのため、クレーターの発生時期が古いほど、岩の数が減少する。そこで、岩が砂よりも熱慣性が高いことを利用し、温度を計測することでクレーターの発生時期を研究グループは推定した。

 とはいえ、290万年前に急激に隕石の衝突が増大した原因については疑問が残る。研究を主導するトロント大学のサラ・マズルーイー氏は、「小惑星群で隕石の離散が起きたからではないか」と主張する。小惑星帯からいくつかの隕石が離れ、太陽系の中心部に向かったのいうのが、研究者の予測だ。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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