知能の高い人は長命か スコットランドの研究

2019年5月13日 08:48

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●知能の高い人は健康である可能性

 イタリアはボローニャで開催されている医学フェスティバルにおいて、認知症研究の第一人者といわれるイアン・ディアリー博士が最新の研究結果を発表した。

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 ディアリー博士の研究によると、知性が高い人は学校でよい成績をおさめてより良い仕事につき平均収入が高いだけではなく、健康で長命の傾向があることが判明したという。

 幼児期における認知能力が高い場合、後年に癌や心血管疾患などの重病を患う可能性が低くなる。ディアリー博士がセンター長を務めるエディンバラ大学の認知老化・認知疫学研究センターでは、知能の高い人の生活スタイルから病気の予防の研究が可能であるとしている。

●幼少期の認知能力が老年期に与える影響とは

 ディアリー博士は、認知能力と寿命についての研究を「認知疫学」と名づけている。小児期の認知能力が、老年期の健康状態と死亡率にどのように関連しているかがテーマとなっている。

 ディアリー博士は、1947年6月4日にスコットランドで実施された認知能力のテストをもとに、研究を進めた。1936年生まれの子供たち7万人が受けたテストの結果がデータとして使用され、68年後の死亡率を分析したのである。

●11歳の認知能力と68年後の死亡率の関連は

 ディアリー教授は、このデータと分析結果から11歳の認知能力と79歳までの寿命との関連について『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に発表した。

 11歳のときのテストで高いポイントを得ていた人は、喫煙が原因とされる肺がんや呼吸器系の疾患、また心血管疾患になる割合がわずかではあるが低かった。これは、青年期に受けた教育や社会的地位の高さと、良好な健康状態との関連もあると推測されている。

 さらに研究チームは、知能と健康の関連は遺伝学的にも理由があると主張している。

●遺伝学から見た知性と健康

 知能の高い人たちがより健康である理由には、人生の中で行ってきた選択がより健康に寄与してきたことにほかならない。つまり人間を知的にする遺伝子は、深刻な病気を予防したり抵抗力を高めたりする遺伝子であるという説も成り立つ。

 あるいは、「健康」は「健康な脳」、つまりニューロンの健全性の反映であると主張する研究者も少なくない。

 いずれにしても認知疫学における未解決の課題は多く、今後研究者たちを魅了する分野であるといわれている。

●デンマークでもイスラエルでも研究が進む認知疫学

 ディアリー博士は、デンマークでは100万人、イスラエルでは200万人のデータをもとにした認知疫学の研究が進められていることも報告した。

 その目的は、知能と健康の関連性を識別し、知能の高い人の生活スタイルから深刻な疾病を予防し健康に老いる方法を明らかにしていくことにある。将来的には、健康格差を減らすのが最大の目的であると博士は語っている。

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