NTT、衛星みちびき活用のスマート農業実験 AIとドローン組み合わせ

2019年4月20日 11:11

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スマート営農ソリューションのイメージ(画像: 発表資料より)

スマート営農ソリューションのイメージ(画像: 発表資料より)[写真拡大]

 NTTグループ、ふくしま未来農業協同組合、エンルートおよび日本農薬は18日、準天頂衛星みちびきを活用したスマート農業の実証実験を行うと発表した。NTTグループが持つAI分析技術とみちびき対応ドローンを組み合わせ、肥料や農薬を散布するタイミングや場所を自動判断する。

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 今回の実証実験は、福島県南相馬市の農場で行うもので、福島県のオリジナル稲品種「天のつぶ」が対象。2019年4月から2021年3月まで約2年間に渡り実施される。就農人口の減少に加え、気候変動により肥料をまくタイミングや害虫対策などに農家の経験則が通用し難くなる中、日本におけるこれらの課題を同時に緩和する解決策の確立を目指す。まずは「天のつぶ」を対象に実験し、その他の稲品種や稲以外の農作物への横展開を予定している。

 今回活用する準天頂衛星みちびきは日本政府が保有する衛星システムで、日本版GPSとも呼ばれる。みちびきを利用することで、ドローンを高い精度で飛行させ、稲などを撮影することができる。撮影された画像をAI技術で診断し、肥料をまく最適なタイミングを判断、そのタイミングでドローンが肥料をまく。同様に農薬の散布も行う予定で、収穫量の最大30%増加と品質向上を目指す。

 日本発の衛星測位システム「みちびき」は、2018年11月にサービスを開始したもので、米国のGPS、欧州のガリレオおよび中国の北斗系統など他国の衛星測位システムと比べ高い精度での測位が可能。例えば農業分野では、青森県にて食味の目安となるタンパク質含有率や土壌の肥沃度等の情報を衛星で入手し、営農指導に活用したブランド米「青天の霹靂」が誕生。また農業用トラクターの、自動走行実現を後押しするものと見られている。その他の分野では、森林火災の早期検知や正確な漁場探知など、今後、多様な領域での活用が期待される。(記事:dailyst・記事一覧を見る

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