上質な演技で見えづらい世界を掘り下げる良作! ドラマ「きのう何食べた?」レビュー

2019年4月12日 18:33

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しっかり原作の雰囲気を出している西島秀俊(右)と内野聖陽(左)(c)「きのう何食べた?」製作委員会

しっかり原作の雰囲気を出している西島秀俊(右)と内野聖陽(左)(c)「きのう何食べた?」製作委員会[写真拡大]

■好調な滑り出しを見せたドラマ「きのう何食べた?」

 2019年春ドラマの中でもっとも注目を集めている作品の一つが、テレビ東京にて放送されている「きのう何食べた?」だろう。「きのう何食べた?」は「モーニング」にて2007年12号から月1回のペースで連載中の作品で、作者はよしながふみ氏だ。

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 本作は几帳面な43歳の弁護士・筧史朗が作る健康的な食事シーンと、レシピ本にも負けない情報量が話題となった作品だが、それだけでなく、同性愛者の生活にもフォーカスした作品だ。史朗は2LDKのアパートにて美容師・矢吹賢二と生活をしており、食事を通してつつがない日々と世間が考える「普通」という概念への葛藤を描いている。

■食卓を囲む2人の男性はパートナー

 几帳面な43歳の弁護士・筧史朗(西島秀俊)。40歳を超えても結婚しておらず、なおかついつも定時で帰宅することで知られており、同じ職場の小山志乃(中村ゆりか)は不審に思っていた。そんな彼はあらゆるスーパーを巡ってできるだけ食費を抑えつつ、健康的な食事を作ることに生きがいをいつも感じているのだった。

 急いで帰った史郎は炊飯器の予約を切り、スーパーで安く手に入れた食材を使って鮭の炊き込みご飯を作り始めた。それに合う副菜と汁ものを次々と作り出し、2LDKのアパートにあるテーブルには食指をそそるご飯が並んでいった。

 すべての準備ができたころ、ドアを開けて部屋に入ってくる男性がいた。彼は美容師として働く矢吹賢二(内野)で、史郎と一緒に暮らす住人だった。部屋いっぱいに充満する匂いを吸い込みながら笑顔を見せる賢二だったが、彼はただ一緒に暮らす男性ではなく、史郎のパートナーとして暮らしているゲイだった。

 賢二は史郎と違って自分がゲイであることを職場や家族にもカミングアウトしており、それでも生活に困ることはなかった。その一方で史郎は自分が同性愛者であることを周りに告げておらず、職場でも隠していた。お互いに違う価値観を持ちながら生活を続けてきたが、賢二が客に自分と史郎がゲイであることをカミングアウトしてしまい、ケンカへと発展してしまうー。

■はまり役の西島&内野のキャストに視聴者悶絶

 演技に定評のある西島秀俊と内野聖陽でおくる「きのう何食べた?」。同性愛者などセクシャルマイノリティを題材にしていることもあって時代にマッチしており、日常を大事にする人間らしい価値観を持つ人物が主役と、共感できる部分が多い作品だ。

 また、主人公を演じる西島秀俊と内野聖陽はハマリ役で、SNSでも2人の演技から生み出されるドラマ全体の雰囲気に悶絶した人も多いようだ。セクシャルマイノリティに対して真摯に向き合いつつ、改めて「食」の大事さを伝えてくれるドラマとなっているので、ぜひチェックしたい作品だ。

 ドラマ24「きのう何食べた?」はテレビ東京にて毎週金曜深夜0時12分から放送中。(記事:藤田竜一・記事一覧を見る

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