東大と日清、世界初サイコロステーキ状の「ウシ筋組織」作製 「培養ステーキ肉」 に前進

2019年4月1日 11:26

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サイコロステーキ状の大きな筋組織。(画像:東京大学生産技術研究所発表資料より)

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 東京大学生産技術研究所と日清食品ホールディングスの共同研究グループは、牛肉由来の筋細胞を培養し、サイコロステーキ状のウシ筋組織を作製することに世界で初めて成功したと発表した。

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 人類の総人口は増え続け、世界のライフスタイルは変化を続け、地球規模で食肉の消費量は増大を続けている。長々期的展望においては、飼料や土地が不足し、人類全体のニーズを満たす十分な肉が従来の酪農業的手段によっては果たせなくなるという懸念があり、そこで現在注目を集めているのが「人工肉」の研究である。

 何をもって人工肉と言うかという問題もあるが、ここでは動物の細胞を体外で組織培養して増やした肉のことである。研究レベルにおいてであれば、そのような手段そのものは一応、既に成功を見ている。ただコスト的に、流通に乗せるなどは話にならないレベルであるので、実用化までは程遠いと考えられているのだが。

 ただ、従来の研究における培養肉は、ほとんどが「ミンチ状の肉」を作成するという研究であった。ハンバーグなら作れるかもしれないが(ハンバーグにするほど人工肉を培養するコストは前述の通り途方もないわけであるが)、肉をどうせ食べるならステーキを食べたいというのが人情である。そこで今回の研究、というわけだ。

 さて、サイコロ状の筋組織を倍よ湯するためには、筋肉に含まれる筋組織の立体構造を再現しなければならない。俗に「食感」と呼ばれるものはそれによって形成されるのである。今回の研究では、筋細胞を成熟させ、細胞同士を融合させて細長い構造を獲得させるために、ビタミンCを投与したところうまくいったという。それにより、筋組織の縞状構造(専門的にはサルコメアという)を持つ培養肉が完成したのである。

 もちろんこれも研究段階の話であることに変わりはないが、人類は「培養ステーキ肉」の実用化に向けて一歩を踏み出した、というわけだ。

 なお、研究の内容は3月24日、日本農芸化学会2019年度大会で発表された。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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