埼玉工業大発のベンチャー、5G活用した公道での自動運転実証実験に参加

2019年2月17日 11:35

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5Gの自動運転車両のシステム監視者を 担当した埼玉工業大学の大学院生と同大の渡部教授(画像:埼玉工業大学発表資料より)

5Gの自動運転車両のシステム監視者を 担当した埼玉工業大学の大学院生と同大の渡部教授(画像:埼玉工業大学発表資料より)[写真拡大]

  • 運転席が無人の自動運転車の助手席で大学院生がシステム監視者を担当(画像:埼玉工業大学発表資料より)

 埼玉工業大学発のベンチャー企業、フィールドオート(埼玉県深谷市)は15日、KDDIなどによる、5G (第五世代移動通信システム)回線を活用した、国内初となる複数台の遠隔監視型自動運転による一般公道における実証実験に参加したことを発表した。

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 実験は、2月9日、愛知県一宮市内の公道で実施された。運転席にドライバーがいない車両を2台使用し、公道を時速30kmで走行させる。フィールドオートは、5Gの遠隔型自動運転車両のシステム監視を担当。同時走行する2台の自動運転車両を、一人のオペレーターがKDDIの5G回線を利用して遠隔監視・操作する。今回の実験では、一人の遠隔ドライバーによって、実用に近い速度で比較的交通量の多い公道を安全に走らせることができたという。

 5Gは、高速、大容量であるだけでなく、多接続や低遅延も実現する通信システムだ。そのため、あらゆるものがインターネットにつながるIoT時代には欠かせない技術とされている。これまで国内の公道における遠隔走行実験では、時速20kmでの走行しか許可されていなかったが、5G回線が高速、大容量、低遅延であることから、時速約30kmでの運転席無人走行実験が許可された。

 フィールドオートは、自動車ベンチャーであるティアフォー(愛知県名古屋市)の出資を受け、昨年6月に埼玉工業大学内に設立された。主に、オープンソースの自動運転ソフトウェアを開発・提供するティアフォーサポート事業を行っている。こうした自動運転技術の研究・開発を産学連携で進める私立大学発のベンチャー企業は、同社が初となる。また、同社を設立した埼玉工業大学は、自動運転をテーマとするAI研究・教育に取り組み、2016年には次世代自動車開発プロジェクトを立ち上げている。

 フィールドオートは、交通事故のない社会を目指して、埼玉工業大学が研究・開発した自動運転実用化の技術やノウハウを同社事業に生かすとともに、今後はこうした技術を学外へも移転していくとしている。(記事:Kei_T・記事一覧を見る

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