火星に有人宇宙船が上陸する新たな方法を提案 米大学

2019年2月15日 21:54

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逆噴射しながら火星への上陸を試みる有人宇宙船の想像図 (c) NASA

逆噴射しながら火星への上陸を試みる有人宇宙船の想像図 (c) NASA[写真拡大]

 米航空宇宙局(NASA)やスペースXらが計画する火星への有人飛行計画。問題は、宇宙飛行士を乗せた重い宇宙船をどのように火星へと着陸させるかだ。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の研究者らから構成されるグループは、重い宇宙船を着陸させる新しい方法を提案した。

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■無人探査機よりも困難な火星上陸

 火星探査ミッションで使用された宇宙船は、多くの場合、火星の大気圏に突入する際に約マッハ30のスピードから減速するためにパラシュートを使用してきた。これまで火星へと到達した最重量の宇宙探査機は、約1トンの火星探査車キュリオシティだ。ところが有人宇宙船の重量は5トンから20トンの範囲内と、従来の宇宙探査機よりも重量をもつ。そのため、パラシュートによる上陸は、重量超過で困難だという。

 研究グループの主要メンバーであるイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のザック・パットナム氏によると、約マッハ3まで宇宙船を減速させるには、逆噴射エンジンを使用する必要があるという。ところが、大量の燃料が必要になるという問題が発生する。燃料費がかさむだけでなく、現存する宇宙船の打ち上げ能力を超えてしまうという。

 いずれにせよ、火星に有人宇宙船が安全な場所に安全な速度で上陸するために、燃料をどのような手順で消費するかに関する計画が綿密に練られる必要がある。

■はじき出した最善の上陸方法

 研究グループは、最も燃料を効率的に使用できる上陸方法を導き出した。それによると、最初に、有人宇宙船が大気圏にほぼ垂直に飛び込む。続いて、正しい時刻と速度で、宇宙船が浮き上がるようにシフトする。その結果、大気の濃度が最も高い高度で、宇宙船の飛行が可能になる。大気の濃度が高ければ高いほど飛行時間は長くなるため、抗力が増え、逆噴射エンジンに必要な燃料の量を節約できるという。

 研究の詳細は、米Journal of Spacecraft and Rockets誌にて12月31日に掲載されている。(記事:角野未智・記事一覧を見る

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