何故、伊藤忠商事はデサントに”敵対的”TOBを仕掛けているのか? (3-2)

2019年2月14日 21:08

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 94年には伊藤忠商事の出身者が、現社長の父である石本恵一氏から社長を引き継ぎ、以降の社長は3代続けて19年間に渡り伊藤忠商事出身が務めた。恵一氏は伊藤忠商事出身者の力量を見極めて、社長への就任を要請したのだ。その恵一氏が12年12月に死去した2カ月後の13年2月、デサントの取締役会で伊藤忠商事出身社長の退任と、当時常務だった石本雅敏氏の社長昇格が決議された。この議題について、伊藤忠商事から派遣されていた当時の取締役に、事前の連絡や相談はなかったという。

【前回は】何故、伊藤忠商事はデサントに”敵対的”TOBを仕掛けているのか? (3-1)

 しかも、この社長交代が公表された2月26日には記者会見は行われず、A4判の資料が2枚報道陣に開示された。その資料には退任する社長の処遇に関する記載はなく、「退任」とのみ印刷されていた。更に、社長交代に関する対応はデサントの広報部門ではなく、外部のPR会社が請け負うという異例さで、相次ぐ電話取材には相当の混乱が見られたという。「前社長が相談役に就任」という早合点な報道も見られ、この場合にはデサントが前面に出て、「未定」とコメントして必死に火消しを行ったという。

 まるで父親という重しが取れた雅敏氏が、待っていたかのような人事を行い、伊藤忠商事出身の取締役達は社長も含めて、遠巻きで見守っていたかのような情景すら浮かんでくる話である。

 デサントは84年にゴルフウェアのマンシングウェアにウエイトを置きすぎて過剰在庫を招き、巨額の赤字を計上して経営危機に陥ったあげく伊藤忠商事の支援を仰いだ。98年には売上の40%を占める独アディダスとのライセンス契約が解消されるという、「アディダスショック」に見舞われて再度の経営危機に直面した。2度とも伊藤忠商事の支援を受けて乗り切っている。2度の経営危機から学んだ教訓は、「取引の集中」を避けて、極力分散するという現在では経営の基本的なノウハウだったはずだ。

 ブランドに頼ることと、国内市場に偏重することへの苦い経験から、00年代以後には自社ブランドである「デサント」の強化と、韓国事業に注力してそれなりの成果は上げて来た。19年3月期の連結売上高は1480億円、経常利益は100億円を見込んでいる。そのうち韓国での売上は50%に及び、営業利益は更に大きな割合を占めると見られる。

 どうやら、伊藤忠商事は「取引の集中」が取扱商品から商圏へと変化しながらも継続し、リスク分散が進んでいないことに強い懸念を抱くに至ったようだ。しかも現在は屋台骨に成長した韓国事業も頭打ちが明確でありながら、具体的な打開策が示されないことに苛立ちをも感じ始めた。伊藤忠商事は中国で1000店規模の積極的な店舗展開が必要であることを伝えて来たが、デサントの動きは鈍かった。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

(3-3に続く)

関連キーワード韓国伊藤忠商事デサント

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