「良いもの」「良い会社」の定義はいろいろ

2019年1月28日 17:59

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 伝説的ロックバンド「クイーン」のボーカリスト、フレディ・ マーキュリーの伝記映画の「ボヘミアン・ラプソディー」が大ヒットですが、見た人はみんな「良かった」といいます。
 私も同じ感想ですが、驚いたのは観客の世代の幅がものすごく広かったことです。絶対にリアルを知らない若い世代もたくさんいて、同じく「良かった」といっています。

 ただ、その「良かった」の中身は、昔がよみがえったり懐かしかったりする感情があるかと思えば、純粋に映画のストーリーに感動した人、とにかく楽曲が好きな人、ライブシーンのリアルさ、その他本当にいろいろです。みんなが口々に「良かった」と言っても、それを具体的に感じるツボは千差万別です。
 音楽や商品などで人気が出るものは、より多くの人が“総論”として「良いもの」と思うからですが、細かく見ると、その良さの見方はいろいろです。

 これは会社でも同じです。このところの人手不足で採用に力を入れる会社が増えていますが、応募者から選ばれるには、自社が「良い会社」と思われなければなりません。そして「良い会社」の定義は、個人個人でいろいろです。「良い会社」といわれるために、刺さるツボが人それぞれということは、そのすべてに対応しなければなりません。

 「良い会社」かどうかの判断材料となるのは、「業績」「仕事内容」「給与」「労働時間」「勤務地」「企業規模」「福利厚生」「職場環境」「人間関係」などの一般的な項目から、「社長や社員の人柄」「ちょっとのご縁」「直観」のようなコントロールができないものまでありますが、誰からも「良い会社」といわれるようになるためには、これらすべての項目を高めなければなりません。

 ただ、何でもやらなければならないとは言いながら、実際にできることには限度があります。物理的に無理なことや予算的に難しいこと、感情としてやりたくないことやできないこともあるでしょう。
 そこでは自分たちにできることを、できる限りの範囲でやるしかありません。

 そんな中で、最近は給与アップやオフィス環境の整備、福利厚生の充実といった取り組みがよく見られますが、そのことにもちろん意味はあるものの、だからといってそれで「良い会社」と見られるとは限りません。「良い会社」になるためにと計算しておこなったようなことは、だいたい人の心には刺さらないものです。
 「良い会社」と見られて人が集まるようになるための給与アップが、会社の身の丈を超えたことによる「人手不足倒産」などの話も聞きますが、それはまさに「良い会社」と見られたいがために、相手の顔色をうかがった結果での失敗といえます。

 「良い会社」となるためにできることを考える上で、大事なのは理念やポリシーといわれるものです。それをもとに、自分たちなりの考えで「良い会社」を定義し、できることをできる限り進めます。
 取り組みは多い方が良いですし、範囲も広い方が良いのは確かですが、自分たちの「良い会社」の定義をもとに取り組みを進めていけば、すべてやられているとはいえなくても、その良さに共鳴する人は必ず出てきます。

 クイーンがデビューしたての頃は、評論家からは何かと酷評されていましたが、その音楽性、ルックス、パフォーマンスで人気を高めて批判を封じ、その後の成功へとつなげていきます。そこでは自分たちのポリシーに基づいて、やりたいことやできることを優先していました。もちろん「売れる」ということを意識はしていたでしょうが、あくまで自分たちのスタイルを貫いています。
 これは「良い会社」を作る上でも同じではないでしょうか。

 安易に真似せず、流されず、制約条件は受け入れた上で、自分たちのポリシーと基づいて「できることをやる」のが、より多くの人から「良い会社」と認められる近道ではないでしょうか。

※この記事は「会社と社員を円満につなげる人事の話」からの転載となります。元記事はこちら

著者プロフィール

小笠原 隆夫

小笠原 隆夫(おがさわら・たかお) ユニティ・サポート代表

ユニティ・サポート 代表・人事コンサルタント・経営士
BIP株式会社 取締役

IT企業にて開発SE・リーダー職を務めた後、同社内で新卒及び中途の採用活動、数次にわたる人事制度構築と運用、各種社内研修の企画と実施、その他人事関連業務全般、人事マネージャー職に従事する。2度のM&Aを経験し、人事部門責任者として人事関連制度や組織関連の統合実務と折衝を担当。2007年2月に「ユニティ・サポート」を設立し、同代表。

以降、人事コンサルタントとして、中堅・中小企業(数十名~1000名規模程度まで)を中心に、豊富な人事実務経験、管理者経験を元に、組織特性を見据えた人事制度策定、採用活動支援、人材開発施策、人事戦略作りやCHO(最高人事責任者)業務の支援など、人事や組織の課題解決・改善に向けたコンサルティングを様々な企業に対して実施中。パートナー、サポーターとして、クライアントと協働することを信条とする。

会社URL http://www.unity-support.com/index.html

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