オーロラ用いて宇宙の「波動粒子相互作用」を可視化 発生詳細が初めて明らかに

2019年1月22日 16:43

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研究のイメージ図 (c) JAXA

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 金沢大学や名古屋大学、国立極地研究所、JAXAなどの国際共同研究グループは17日、地上で観測するオーロラを用いた研究から、地球から近い場所で発生している電磁波コーラスと高エネルギー電子が共鳴し生じる「波動粒子相互作用」の可視化に成功し、世界で初めてその発生域の形状作用について詳細を明らかにしたことを発表した。

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 これは、私たちの生活にも関係のあることである。

 「コーラス」は自然界に生じる電磁波の一つだが、音声に変換すると鳥のさえずりのように聞こえ、宇宙空間にある「コーラス」は、「宇宙の音」とも言えるものだ。

 今回研究対象となったのは、この電磁波コーラスと、高エネルギー電子が共鳴し生じる「波動粒子相互作用」だ。宇宙を構成する物質のほとんどを占めるのが「プラズマ」であるが、粒子同士の衝突のない宇宙「宇宙プラズマ」は、電磁波コーラスを介することで、さらに高いエネルギーへの加速や散乱を発生させており、そのことを「波動粒子相互作用」と呼ぶ。この相互作用は、人工衛星に搭載されている電子回路の故障を招いたり、宇宙飛行士の被曝を引き起こす有害な物質を発生させるといった影響がある。

 また波動粒子相互作用は、宇宙の高エネルギー電子を地球の大気中へ降下させ、地球の大気形成に変化をもたらす可能性も指摘されている。地球の大気形成が変わると、私たちの生活にも影響を及ぼすかもしれない。

 だがこれまでは、波動粒子相互作用を目で見ることはできなかった。見ることができなければ形状作用の詳細を知ることはできず、半世紀以上にもわたって研究が続けられていた。

 今回の研究では、コーラス波動が高エネルギー電子を大気中へ降下させる際に、特殊なオーロラを発光させる点に着目した。そこで地球周辺の放射能の様相を調査する科学衛星「あらせ」と、地上観測網「PWING」とを用いた観測を行った。

 結果、科学衛星「あらせ」が地球から約3万キロ離れた距離で、コーラス波動を捉えたのと同時に、そのコーラス波動に伴う波動粒子相互作用が引き起こした突発発光オーロラを地上でとらえることに成功。波動粒子相互作用の発生域が数十ミリ単位で、非対称に発達することが明らかになった。また、これまで明らかになっていなかった、磁力線を横切る方向の波動粒子相互作用発生域の形状変化も判明した。

 今後は、類似のオーロラをさらに多数解析することで、波動粒子相互作用の普遍的な特徴が明らかになることが期待される。また、研究グループは、数百ミリ秒しか存在しないこのような特殊なオーロラを観測するため、人工知能を用いてデータ解析を行っており、これまで困難であった同類データの大量解析についても、可能になったという。

 今回の研究によって、オーロラは間接的に、宇宙電磁環境を可視化するためのディスプレイになると共に、オーロラを用いて宇宙電磁環境ハザードマップを作成し、より安全で安心の宇宙利用拡大になることも期待できるという。(記事:中川リナ・記事一覧を見る

関連キーワード名古屋大学人工知能(AI)宇宙航空研究開発機構(JAXA)

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