小惑星「リュウグウ」には砂がない 地上探査機「ミネルバ2」が解明 JAXA

2018年12月15日 10:26

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SOL.112: 2018年10月26日(日本時間)にRover-1Aが静止中に広角カメラで撮像した画像(C)JAXA

SOL.112: 2018年10月26日(日本時間)にRover-1Aが静止中に広角カメラで撮像した画像(C)JAXA[写真拡大]

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は13日、小型探査ロボット「MINERVA-II(ミネルバ2)」についての説明を行った。「ミネルバ2」は、9月21日に探査機「はやぶさ2」から分離され、小惑星「リュウグウ」表面に投下された。2機の「ミネルバ2」は11月2日以降、連絡が取れない状況になっている。原因は日陰に入ったことで電力不足となったと推定されており、「リュウグウ」の季節が変化し日照条件が変わることで、再び電力が復活することが期待されている。

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 「ミネルバ2」は、運用期間中にたくさんの「リュウグウ」表面の画像を撮影しており、何度もホッピングを行い移動しているにも関わらず、最初の画像から最終の画像まで写真はクリアで、カメラに砂等の付着が見られないことから「リュウグウ」には砂がないと結論づけられた。

 JAXA宇宙科学研究所・研究総主幹の久保田孝教授の説明によると、2機の「ミネルバ2」、ローバー1Aとローバー1Bには、正式な名前がついたという。ミネルバ自体がローマ神話でいう女神であり、聖なる動物で知恵の象徴でもあるフクロウが共に描かれていることから、ローバー1Aはミミズクのフランス語のHIBOU「イブー」、ローバー1Bはフクロウの英語のOWL「アウル」となった。

 太陽日(SOL、solar day)の基準では、「リュウグウ」の場合、1SOL(ソル)は、地球時間の約7.6時間となる。「ミネルバ2」の担当者である吉光徹雄准教授の説明によると、「アウル」は10日目(SOL.10)にテレメトリ(遠隔測定法)受信中に電力が低下し、以後テレメトリがなくなった。それに対し、「イブー」は113日目(SOL.113)までは順調だったが、114日目(SOL.114)以降はテレメトリが受信されなくなった。

 ホッピングについての説明では、1回のホップで10メートルぐらい移動することから電力などを考慮すると、1日1回程度のホップだった。また、必ずしも毎日ホップするわけではなく、静止してステレオ視も行っていた。「イブー」の移動については、113日の約3割、30日から40日のホッピングにより「リュウグウ」表面を約300メートルあるいはそれ以上ジャンプをし、移動した可能性があるという。しかしその軌道については、直進したのか、同じ場所をぐるぐる回っていたのか、ある程度のところで折り返して来たのか等、多様な軌道が考えられ、まだ解析中である。

 今回新しい写真が多く公開されたが、まだ未公表の写真もあるという。また、来年1月末に予定されている「はやぶさ2」本体のタッチダウンに関しては、現在スタッフが調整の真っ最中である。

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