東大、世界最古の水稲栽培文明は地球の温度変動で崩壊 教訓を活かせるか

2018年12月3日 19:38

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コア採取地の温度変動と長江デルタの文明変遷(写真:東大の発表資料より)

コア採取地の温度変動と長江デルタの文明変遷(写真:東大の発表資料より)[写真拡大]

 東京大学と日中の研究機関の共同研究グループは1日、約7500年前から存在した世界最古の水稲栽培を基盤とした中国長江の新石器文明が、約4200年前に突然消滅し、その後300年間にわたり文明が途絶えた原因を特定したと発表した。

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 地球温暖化対策を話し合う国連会議「COP24」がポーランドで開催されている。世界190カ国を超える国や地域が参加し、温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」を実行に移すために必要なルールを決めることが目標だ。

 その目標とは、温度目標と温室効果ガス排出量目標だ。温度上昇を2度未満(理想的には1.5度未満)に抑え、温室効果ガス(二酸化炭素やメタン等)の排出を今世紀後半にゼロにする。長期スパンの実行計画に加えて、その実施検証の妥当性確認まで含めると、各国の意見の隔たりは大きい。特に、米国トランプ政権やブラジルといった大国の「パリ協定」脱退宣言は判断に大きな影を落とす。

 では、2度温度が上昇すると、地球にどのような影響を孕むのであろうか。近年の猛暑や洪水に代表される異常気象は我々が実感できる現象である一方で、目に見えずに進行している現象もある。6月13日付の「Natureオンライン版」では、25年に亘る南極の氷を衛星で観測し、ここ5年で氷の溶解スピードは3倍になったという論文を発表した。

 今回の発表は、地球の温度変動によって、世界最古の文明が滅んだという衝撃的な事実である。人類が今後も反映していくには、人類のみならず、動植物をも含めた生存が必要なのであろう。

 研究の詳細は12月1日付の「Quaternary Science Reviews」に掲載された。

●長江デルタ文明の崩壊の原因を究明

 7500年前から4200年前まで栄えた世界最古の文明は、水稲栽培を基盤とした新石器時代のものだ。その文明が突如として崩壊し、その後300年間に亘り文明が途絶えた。その原因は、大規模かつ複数回の急激な寒冷化であったと特定。その寒冷化は3度~4度の温度低下だ。水稲栽培を基盤とした文明が気候変動によって滅んだことは、今後の地球環境変動予測とその対応策が、人類にとって重要な課題である。

 COP24、人類史上でも最も大きなものの一つと言える決断と、各国の協調姿勢が問われる。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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