乃木坂46・能條愛未が卒業

2018年10月6日 19:19

印刷

 10月5日、乃木坂46・樋口日奈の755(SNSアプリ)に1本の動画が投稿されている。

【こちらも】乃木坂46若月佑美が背負っていた十字架を外す日

 そこに映っているのは、大好評で幕を閉じた札幌での乃木坂アンダーライブの練習風景で、能條愛未・樋口日奈・伊藤かりんの3人による『逃げ水』の歌唱シーン。

 テレビで見慣れた、あるいはCDで聞きなれた選抜のそれとはまったく違う、たった3人での、しかし見事なハーモニー……今回のライブの中でも、多くの人が賞賛していたパフォーマンスで、樋口・伊藤のハモリをうけ、見事に主旋律を歌い上げる能條の歌唱力の高さを改めてみせつけるものだった。

 その数時間前、能條愛未はアンダーライブにおいて、乃木坂からの卒業を発表している。西野七瀬、若月佑美に続き、わずか1カ月で3人目の卒業発表であり、しかも3人とも、これまでの乃木坂の中核を担ってきたと言っていい94年組である。

 発表の後、同じ94年組、そしてともにアンダーライブを引っ張ってきた中田花奈は嗚咽のあまりMCができなくなり、樋口、和田まあや、そして乃木坂加入前から同じアイドルグループで活動していた川後陽菜も号泣し、活動復帰したばかりで気丈に振舞っていた北野日奈子も最後は能條と抱き合ったままニカワで貼り付けたように顔をうずめて肩を震わせていた。

 誤解されやすい人である。

 整った顔立ちから、第一印象は「怖い」と思われ、2期生の寺田蘭世などは数年間ほとんど会話したこともないそうだ。

 本人も、バラエティ番組で見せる明るいキャラとは裏腹に、極度の人見知りでもあり、自分からどんどん話しかけることができないことに悩んでいた時期も長かった。それを解決するために……かどうかわからないが、補うかのようにサービス精神旺盛で、他もメンバーがやらないようなムチャブリにも果敢に挑戦し、笑いを取ろうと頑張っていた。

 箱の中身を当てるゲームで自らが箱の中に入り、西野七瀬から顔を鷲掴みされたり、髪をぐちゃぐちゃにされたこともある。

 その一方で、歌唱力もあり、乃木團では中元日芽香と共にヴォーカルをつとめてもいる。

 女優としての実績は、乃木坂でも屈指。特に2.5次元系の舞台では、乃木坂でのバラエティキャラとは正反対の美しくかっこいい存在感で乃木坂ファン以外の観客からも高評価を得ている。

 卒業発表の挨拶で、彼女は「乃木坂での活動に悔いはなく、また卒業後の活動にも不安はない」と言い切った。

 ウソだ。これだけの実力と実績がありながら、選抜は1回だけ。これで悔いがないわけがない。

 そして不安がないわけがない。彼女はその不安を解消するために、どんなに忙しくてもリハーサルや練習で手を抜かない。舞台ともろかぶりして、参加できるかどうかも怪しかったアンダーライブでも、短い時間で必死に練習していたのは不安だったからだ。

 悔いを心に刻み、不安を胸に抱えて、持ち前のバイタリティを奮い立たせて卒業していってほしい。あなたのファンは、あなたが笑顔の下で苦悩し、涙を流し、歯を喰いしばって、それでも明るく元気に笑わせてくれたことを知っている。

 その悔いと不安を共有することで、より強くつながっていると思えるのだから。(記事:潜水亭沈没・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事