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わずか1kmの分断がアマミノクロウサギの遺伝的交流を断絶する 筑波大の研究
アマミノクロウサギ。(写真:筑波大学発表資料より)[写真拡大]
国立環境研究所、筑波大学、福島大学、環境省の共同研究グループは、徳之島(鹿児島県)に棲息するアマミノクロウサギが、数千年前から南北の生息地に分断され、遺伝的交流を持たずにいた可能性が高いことを遺伝解析により明らかにした。
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徳之島のアマミノクロウサギの生息地は南部域と北部域に分かれているが、両エリアは最も近いところでは約1kmの距離を持つに過ぎない。そして、アマミノクロウサギのようなウサギ類は、基本的には高い移動性を有する動物である。にも関わらず野生化での遺伝的交流がないという事実は、極めて意外なことであるという。
さて、アマミノクロウサギは奄美大島と徳之島にのみ生息する日本固有種である。かつてはユーラシア大陸に近縁種が存在したらしいが、琉球列島の大陸からの隔離後に大陸側の近縁種は絶滅してしまい、島嶼部における隔離固有種となっている。
アマミノクロウサギは生息地である森林の破壊、マングースやノネコなどの捕食の影響で、現在絶滅の危機に瀕している。
徳之島におけるアマミノクロウサギの生息域は、道路や農地によって南北に分断されている。わずか248平方キロメートルの小さな島であり、生息個体数も奄美大島より少ないと考えられている。つまり絶滅の危惧度合いが奄美大島以上に高いので、対策として研究が行われているのだが、その結果として、今回のような意外な結果が出たのである。
研究は、徳之島の林道や沢においてアマミノクロウサギの糞を採取することで行われた。得られたDNAを分析して、南北の集団の交流の途絶が生じた時期を推測したわけであるが、数千年以上の長い時間スケールにおいて、集団の遺伝的分化が生じていた。
このような島嶼に棲息する哺乳類において、小規模な地理的スケールでの遺伝的分断は、過去には一部のネズミ類で報告された例があるに過ぎないという。
なお、研究の詳細はJournal of Wildlife Management誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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