東芝のペロブスカイト太陽電池 世界一のエネルギー変換効率と認定

2018年8月10日 17:36

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ペロブスカイト太陽電池モジュール(写真:東芝の発表資料より)

ペロブスカイト太陽電池モジュール(写真:東芝の発表資料より)[写真拡大]

 東芝は9日、同社のペロブスカイト太陽電池が、学術論文誌「Progress in Photovoltaic」に掲載される世界の太陽電池トップデータ集である「Solar cell efficiency tables ver.52」に、認定機関で測定したモジュールでは世界一のエネルギー変換効率として掲載されたと発表した。

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 世界一のエネルギー変換効率と認定されたのは、ガラス基板とフィルム基板の2種のペロブスカイト太陽電池モジュールだ。

 ガラス基板上に作製した面積802平方センチメートル(開口部サイズ 27.20×29.50センチメートル)のモジュールのエネルギー変換効率は11.6%と認定。サイズが800平方センチメートル以上のモジュールのカテゴリーで世界最大の変換効率を誇る。

 フィルム基板上に作製した面積703平方センチメートル(開口部サイズ 24.15×29.10センチメートル)のモジュールのエネルギー変換効率は11.7%と認定。サイズが200平方センチメートル以上のサブモジュールのカテゴリーの変換効率で世界一だ。

 世界一の変換効率の達成には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「高性能・高信頼性太陽光発電の発電コスト低減技術開発」が支援する。フィルム型ペロブスカイト太陽電池モジュールについては、積水化学の封止技術を用いながら開発を進め、実用化サイズとして想定される900平方センチメートルを目指す。

 ペロブスカイト層の材料改良等で結晶シリコン太陽電池並みの高効率実現を実現できれば、基幹電源並みの発電コスト毎時7円/キロワットの実現も夢ではない。

●ペロブスカイト太陽電池(東芝、変換効率)のテクノロジー

 東芝は有機ELにも適用しているメニスカス塗布の技術でモジュールサイズ拡大を目指した。面積拡大化に向けた塗布プロセスの開発と塗布溶液であるインク組成の工夫により、面内膜厚均一性と結晶膜質の均質性を高めることに成功。世界最大のエネルギー変換効率を達成した。

 特に面内膜厚均一性と結晶膜質の均質性を高めるために、塗布プロセスは2ステップを採用。1液目では、インク組成を工夫したヨウ化鉛溶液を塗布。乾燥条件を適正化させて乾燥させる。2液目では、ヨウ化メチルアンモニウム溶液を塗布するが、ヨウ化鉛との反応を制御するプロセス条件を設定。反応した混合物を乾燥させ、面内膜厚均一性と結晶膜質の均質性を高めた。(記事:小池豊・記事一覧を見る

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