米民間宇宙船によるISSのクルー交代計画、2020年8月まで遅れる可能性も

2018年7月16日 16:43

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記事提供元:スラド

実現が遅れている米民間宇宙船による国際宇宙ステーション(ISS)へのクルー交代ミッションだが、米会計検査院(GAO)の報告書によると最悪2020年8月までずれ込む可能性があるという(報告書: PDFArs Technicaの記事SlashGearの記事)。

NASAは民間宇宙船によるクルー交代ミッション計画で2014年にボーイングとSpaceXを選定し、2015年正式発注している。無人テスト飛行と有人テスト飛行を完了して認証マイルストーンに達する時期は当初、SpaceXが2017年4月、ボーイングが2017年8月に設定していた。

しかし、スケジュールは延期が続き、現在はボーイングが2019年1月、SpaceXが2019年2月にマイルストーン到達を設定している。NASA SRA(schedule risk analysis)によれば、ボーイングは2019年5月~2020年8月にマイルストーン到達、SpaceXは2019年8月~2020年11月にマイルストーン到達と予想されている。つまり、クルー輸送用の民間宇宙船は早ければ2019年5月に運用可能な状態となるが、遅ければ2020年8月まで待つことになる。

現在、NASAが座席予約している最後のソユーズは2019年11月に地球へ帰還する予定になっており、米国は最悪の場合9か月間ISSへのアクセス手段を失うことになる。ソユーズの座席予約には宇宙船の建造工程を含めて通常は3年かかるため、今から2021年以前の座席を確保することはできない。
そのため、NASAではソユーズの打ち上げスケジュールを調整により地球帰還を2020年1月にして2か月稼ぐ、有人テスト飛行を利用して米宇宙飛行士を送迎するなど、さまざまなオプションを検討しているが、現在のところ正式な計画はないとのこと。NASAは有人テスト飛行で3人目のクルー追加や最長6か月の宇宙滞在を可能にするよう、ボーイングとの契約を3月に変更している。

なお、SpaceXは12日、8月に無人飛行テストを予定するクルー輸送用宇宙船「Crew Dragon」をケープカナベラル空軍基地に搬入している。 

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