【スバル記者会見(3)】「不良品はない」とする根拠がおかしい

2018年7月10日 17:40

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【ポイント3】:「不良品はない」とする根拠がおかしい

 スバルの、2012年12月以降の残っていたデータ6,530件の中で、約14%の927件が測定不良データであった。その927件を取り除いて、他のデータで見ると「不良はなかった」としたようだ。しかし、「統計データとして信頼性が保てるか」つまり「有効性があるのか?」については今後の調査としている。これで、現時点で「不良はない」と言い切っているのは、単に「突っ張り」としか言えず「ウソ」と見られても仕方がない。

【前回は】【スバル記者会見(2)】 「組織としてのコミュニケーションの在り方」が分かっていない

 車種についても「現在は確定できていない」としているが、いくら混流生産であるとしても、そんなデータの記録の在り方がありえるのだろうか?それはつまり、残っていたデータは、何らかの機械の中で残存していた程度であり、正式なデータの体裁を保っていない可能性が高い。これで自動車の信頼性を確保する「信頼できるデータ」と言えるのだろうか?これは国土交通省の見解を見てみたいものだ。

 前回の「完成検査時の燃費・排出ガス測定に関する調査報告書」の時もそうだが、法的責任についての立場を語ることはできているようだが、「不良品はなかった」とする根拠は確定できるものではなかった。むしろ無理やり主張しているように感じる。今回もデータの信頼性も含めて「確定する」必要がある。それがリコールの必要性を決めることになる。「ユーザーに対する補償」と「刑事責任の有無」について確定することにもつながる。

 仮に、経営者まで知っていながら無視してきたとなると、「詐欺」ととられかねない事案であろう。公取の「不正表示」にも触れるのだろう。だからこそ「現場が勝手にやった」として弁護士を使ったのであろうが、品質保証の技術的解明をなす術が、吉永社長(現・会長)体制にあるとは現状感じられなかった。ましてや今後のスバルを立て直すなど、調査さえまともにできていない事実からすれば、考えられない管理・経営技量である。

 次は、メディア記者が質問で攻め切れない理由と吉永体制の限界を考えてみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

続きは:【スバル記者会見(4)】メディア記者の稚拙な技術的知識と吉永体制の限界

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