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JAMSTEC、熊野灘でメタンハイドレートを発見 大量のメタンを含有
地球深部探査船「ちきゅう」船上で確認されたメタンハイドレート。(画像:海洋研究開発機構発表資料より)[写真拡大]
海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、地球深部探査船「ちきゅう」を用いた探索によって、紀伊半島南東の熊野灘(熊野海盆)の海底において、メタンハイドレートが発見されたと発表した。推計では、約32億立方メートルのメタンが存在していると考えられるという。
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メタンハイドレートは海底に眠る、未開拓の化石燃料資源である。現時点ではまだ商業化に成功した国は一つもないが、地球温暖化対策にも有効と見られている。
また今回の発見は、メタンハイドレートの形成のメカニズムについても一つの新たな示唆を与えるものである。
探査による総合的な解析の結果としては、熊野海盆にある海底泥火山の山頂から590メートルの深さまでに渡ってメタンハイドレートが存在するという。これは、これまでに報告されていた、海底泥火山一つあたりに含まれるメタン量の約10倍に相当する。そして、そのうちの90%以上は、海底下400~700メートルの堆積物に生息する微生物によって生成されたものであるという。
泥火山というのは地下深部で形成された水やガスを多く含む泥が吹き上がってできた円錐形の山である。世界各地の大陸辺縁部に分布しており珍しい物ではない。
泥火山には、地下深部で形成された物質を大気や海洋に供給する役割がある。特に、メタンの放出源として重要である。
メタンは大気中にあっては強力な温室効果ガスである。だが、地下から回収することができれば、有効な資源となる。
これまでの研究では、泥火山におけるメタンの約80%は、熱分解起源メタンであると考えられていた。しかし、今回発掘された試料を分析した結果、これが微生物によって生産されたメタンを90%以上含むものであったのである。
今回得られた知見は、今後の海底炭化水素の探鉱などに当たって、大きな貢献をなすものであるという。
なお詳細は、Science Advancesに掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)
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