自動車メーカーのプラットフォーム開発競争(5) プラットフォームの共通化は失敗なのか?

2018年6月4日 16:16

小

中

大

印刷

■プラットフォームの共通化は失敗してきたのか?

 近頃、「プラットフォームの共通化は失敗した」「プラットフォームの共通化は効果があまりない」などの意見が多く聞かれるようになった。しかし、これは製造業の「平準化」の狙いをよく理解できていないためで、もっとよく考えることだ。本来、プラットフォームの共通化が出来ると、生産の平準化が出来、生産量に対してコスト変動できるためコントロールしやすくなり、利益率が上がるのだ。現在、1,000万台生産しているとして、いま「平準化を達成していた」としても、増・減産しなければ効果は発揮されない。だから、誤解されるのだろう。

【前回は】自動車メーカーのプラットフォーム開発競争(4) 技術的影響は2.操縦性能

 多くの車種を同じ生産方法で造れるとなると、車種ごとの生産台数は変動するが、トータルの生産台数にそれほど変化がなければ、生産ラインの稼働率は変化しない。それが平準化の効果だ。トータルで増産するにも、必要なコストは限定される。たとえ減産に転じても、閉鎖する製造ラインを限定的にできれば損害は少ない。そのために製造ラインをセル生産方式(通称屋台)にしておけば、増・減産のコストは最小限にできる。

 この効果を狙ってプラットフォームを共通化しているわけで、車種ごとの生産量の変動が、トータルコストに与える変動幅を見ないと効果は確定できない。モデルベース開発手法でカバーできるコストとは別次元の話だ。これからもコンピュータ内でシミュレーションできる範囲を広げなければならないが、量産製造・生産技術を計数化して取り込んでいかないと、量産製造分野のコストダウン効果を、モデルベース開発に望むことはできない。それには工作機械の進歩も伴う必要があり、細かいカイゼンが進む中で、データとすることの難しさを感じる。

■どのようなシステムでも革新が必要

 どちらにしても、プラットフォームの「設計概念の共通化」に失敗があるとすれば、「長い期間同じである」ことが起きることだ。カイゼンと革新は絶え間なく行わねばならない。それには、できる限りコンピュータシミュレーションで済ませられることが必要だ。余談だが、北朝鮮の核実験場でも、すでに得られた実験データがあれば、あとはシミュレーションで済ませられるので、必要がなくなり今回爆破されたのだ。核保有国の全てが現在その水準にある。

 自動車設計においても、強度計算など既に実験データのある設計思想であれば、シミュレーションで済ませられるはずだ。問題は、基本設計概念がいつまで通用するのかだ。全く新しい概念を拒否することのないように運用する必要があるのは、どんなシステムでも同じなのだ。

 次に、マツダ「コモンアーキテクチャー」で「一括企画」と「混流生産」が可能となってきたことと、これらの展開を見てみよう。(kenzoogata)

続きは: マツダがスモールとラージに分けた訳(1)「コモンアーキテクチャー」が目指すのは「平準化」

関連キーワードマツダ

「自動車・二輪車・部品」の写真ニュース

企業・産業の最新ニュース

RSS

もっと見る

主要ニュース

RSS

もっと見る

広告

広告

SNSツール

RSS

facebook

zaikeishimbun

いいね!

twitter

@zaikei_company

フォロー

google+

Hatena

広告

ピックアップ 注目ニュース