高齢の鬱病患者は認知症を患うリスクが上昇 イギリスの研究

2018年6月1日 12:02

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●鬱病により加速する脳の老化

 長らく心理学者のあいだでは、高齢者の鬱病と脳の老化に関連があるのではと推測されてきた。この関係が、今回の研究で裏付けられた。

 34におよぶ研究をベースにしたメタアナリシスでは、平均年齢72歳の7万1,000人のデータが適用されている。研究は、国際医学誌『サイコロジカル・メディシン』に掲載された。

●70歳以降急増する「鬱」と「認知症」双方の経験者

 イギリスのサセックス大学が行ったこの研究では、高齢者における記憶障害、意思決定の困難、情報処理のスピードなど、一般的な認知機能の低下に焦点が当てられている。

 それによると、70歳以降では鬱病と認知症の双方を患うケースが5年ごとに2倍となる。85歳になると、2つの症状を経験したことがある確率は全体の25%にも上った。

●「鬱」が先か「認知症」が先か

 とはいえ、初期の認知症では抑鬱状態や不安感を誘発する可能性もあるため、先に鬱病を患っているケースについては認知症への影響が確認できていなかった。このため、サセックス大学のDarya Gaysina教授は、すでに認知機能の低下の兆候がある高齢者は研究対象から外している。

 分析の結果、実際に鬱病を患っている高齢者はそうでない人に比べて認知機能が大きく低下していることが明らかになった。

●認知症治療への長い道のり

 しかし、研究に使用されたさまざまなデータは鬱病の進行具合を計る尺度が不均一であったことから、鬱病が原因となる認知機能低下のスピードや確率の推測は不可能であった。また、認知症を治療するためには数十年におよぶ前臨床試験を要するため、現時点では確実な治療法は存在しない。サセックス大学の研究チームは、今回の研究結果が精神疾患の治療へ向けての動機となるよう望んでいる。

 つまり、高齢者の精神的健康を守るだけではなく、現在鬱病や不安障害を患っている人が将来的に認知機能の低下に苦しむことがないよう予防措置が必要になってくる。

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