産総研ら、脳波から考えを読み取る新技術考案 

2018年5月30日 11:42

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今回開発された技術の概要説明図。(画像: 産業技術総合研究所の発表資料より)

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 産業技術総合研究所らは29日、脳波から運動の意図を読みとる新技術を考案したと発表。四肢が麻痺した患者などが車いすといった外部機器を操作するためのインターフェースに応用できる可能性が見込まれている。

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 では脳波から運動の意図をどう読み取るのか。方法としては、脳の予測機能を利用する。脳には運動を行う際、その運動後の身体の状態、つまり運動結果を予測する機能がある。

 そして脳は運動結果を予測して意図した運動結果との間の誤差(予測誤差)が小さくなるよう筋肉に指令を出すと考えられている。この予測誤差が脳波に大きな影響を与えると考え、これを運動意図の推定に用いた。

 具体的には、装置を使って脳に運動結果の錯覚を引き起こす人工的な感覚刺激を与える。すなわち人為的に「運動結果」を脳に伝えるということだ。そうして、脳が運動意図より予測した運動結果とその人為的に与えられた運動結果との間の誤差に対する反応、つまり脳波から、本来の運動意図を判別する。

 もし車いすに乗った人が左右どちらに曲がりたいと思ったかを判別するなら、その人の脳に左、あるいは右に曲がると錯覚させるような人工的な刺激を与える。その錯覚させた移動方向と本来意図した移動方向の正誤を脳波解析によって突き止めることで、意図した移動方向を推定する。なおこの推定にかかる時間は0.1秒以内、精度は平均85%以上だ。

 この新技術はブレーン・コンピューター・インターフェース(BCI)に新たな可能性をもたらすものと期待されている。BCIとは脳から信号を読み取って計算機で処理し、機械を操作するためのインターフェースのこと。ヘッドギアなどに装着した電極で頭皮を通して計測するやり方や脳に直接電極を埋め込むやり方などがある。

 今回考案された新技術は、そのような従来のBCIほど負担がかからない。人工的に与える刺激は与えられた人が気付かないほど弱く、加えて精度を高めるための訓練も必要ないためだ。

 今後は運動意図を表すことが難しい全身麻痺患者のコミュニケーションツールとして使えるかどうかを把握するための臨床試験、また既存のBCIと併用しての研究を行っていくという。(小椋恒示)

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