2017年度不適切会計企業は前年度比52%増と過去最多 東京商工リサーチ

2018年4月24日 10:50

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 東芝の不正会計問題を機に、企業会計の適切性が問われているが、東京商工リサーチが20日にまとめた2017年度の不適切会計・経理の開示企業は、上場企業で64社と、前年度比52.3%の大幅増加となった。件数も64件と、同48.8%増だった。不適切会計企業の開示数は、2008年度に調査を開始して以来、10年間で社数が2.3倍に増え、社数・件数とも過去最多を記録した。

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 不適切会計の開示企業は、前年度の42社から22社も増えたが、これは、2015年5月の東芝の不正会計問題の表面化を契機に、開示データの信頼性確保や企業ガバナンス強化の取組みが浸透し始めたことによると見られる。

 開示企業の市場別内訳は、東証1部上場企業の増加が目立ち、調査開始以来、最多の34社と、全体の半数以上を占めている。内容別では、経理や会計処理ミスなどの「誤り」が29社で、構成比は45%と最も多くなっている。次いで「架空売上の計上」(7社)や「水増し発注」(2社)などの「粉飾」も22社(構成比34.4%)と目立っている。

 発生当事者別では、親会社が23社だったのに対し、子会社・関係会社が30社と上回っている。複雑な決算処理に対応できない現場の混乱、あるいは、売上や利益などの業績目標などがプレッシャーとなり、不適切会計に手を染めるケース浮かび上がっている。

 調査は、自社開示、金融庁、東京証券取引所などの公表資料を基に、上場企業、有価証券報告書提出企業を対象に「不適切な会計・経理」で、過年度決算に影響が出た企業、今後影響が出る可能性を開示した企業を集計した。(記事:南条 誠・記事一覧を見る

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