東工大と東北大、地震発生メカニズム解明か 「天然の注水実験」説

2018年4月11日 06:49

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解析した地震(色は深さ)の分布(図:東北大学の発表資料より)

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 東京工業大学の中島淳一教授と東北大学の内田直希准教授は10日、茨城県南西部のフィリピン海プレートの上部境界周辺で発生する地震の波形を解析することで、プレート境界で約1年周期のスロースリップ(ゆっくりすべり)が発生し、それに伴って水が浅部に排出されていると発表した。

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 日本は地震大国だ。大陸プレートとその下に沈み込む海洋プレートの境界で地震が発生。沈み込むプレートに引きずられて生じたひずみを解消する働きが主な原因である。1923年関東地震や2011年東北地方太平洋沖地震はプレート境界での巨大地震である。

 この大陸プレートの移動はスロースリップと呼ばれ、数日から数年かけてゆっくりと断層が動く。その周期は数カ月から数年周期だ。これまでプレート境界地震の発生予測の際にはスロースリップによる応力変化の影響だけを評価してきた。

 実際、東北地方の沖合では 2011年2月半ばからスロースリップが始まり、すべりの伝播先で約1カ月後の3月11日、東北地方太平洋地震が発生したとの報告もある。

 スロースリップの発生域は水に富む領域であることがわかっていたが、今回スロースリップに伴う水の挙動を解明。スロースリップによる応力変化に加えて、プレート境界地震の発生予測には「水の移動」も考慮する必要があるという。

 研究の詳細は、4月9日(英国時間)の英国科学誌「Nature Geoscience(ネイチャー・ジオサイエンス)オンライン版」に掲載されている。

●地震発生のメカニズム

 2004年から2015年に発生した地震を用いて解析。繰り返し地震の活動が約1年周期で活発化すること、その活動と同期してプレート境界直上の地震波の減衰特性が大きくなること、さらにそれから数カ月遅れて浅い地震活動が活発化することが判明した。

 これら一連の地震活動のメカニズムは、繰り返し地震の活発化は、約1年周期で発生するプレート境界でのスロースリップを原因とする。スロースリップに伴ってプレート境界の水が上盤に排出し、地震波の減衰を大きくする。そして、排出された水は数カ月かけて浅部に上昇し、上盤プレート内で地震を誘発するといった具合だ。

 プレート境界からの排水により地盤の構造が変化し、地震が誘発されるという現象は、人工的な注水実験でみられる活動と似ている。注水実験では、誘発される地震数は水の注入量に比例し、注水が終わると地震活動が低調になること、注水により岩盤の地震波速度が変化することが知られている。

 このことから、関東地方の地下において「天然の注水実験」が進行していることを示唆。地震発生予測の高度化に向けて一歩前進したのであろうか。(小池豊)

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