パナソニック、有機CMOSイメージセンサの歪み解消 ソニーに挑む

2018年2月16日 17:32

印刷

左:従来シリコンセンサ 右:有機センサ(写真:パナソニックの発表資料より)

左:従来シリコンセンサ 右:有機センサ(写真:パナソニックの発表資料より)[写真拡大]

  • 左:ローリングシャッタ 右:グローバルシャッタ(写真:パナソニックの発表資料より)

 パナソニックがソニーの牙城に挑む。CMOSイメージセンサのグローバルシャッタ機能を搭載したと、ソニーに1日遅れで発表。

【こちらも】ソニー、CMOSイメージセンサー特有の歪みを解消

 パナソニックは14日、8K画質を実現する、3600万画素の高解像度で、60fps(1秒でのフレーム数)の高速フレームレート読み出し、かつ、45万電子の高飽和と、感度変調機能を有するグローバルシャッタ撮像が可能なCMOSイメージセンサ技術を開発したと発表した。

 本技術により、明暗差の大きなシーンでの8K高解像度での撮影や動体の歪みのない瞬時切り取り(グローバルシャッタ機能)が可能になるという。

 パナソニックと富士フィルムは2013年、イメージセンサの受光部に有機薄膜を用いた有機CMOSイメージセンサ技術を開発。今回、有機センサの特徴を活かして、有機薄膜に加える電圧制御による感度変更により、グローバルシャッタ機能を実現した。(写真の右図参照)

 他方、ソニーは裏面照射型CMOSイメージセンサのグローバルシャッタ機能を、A/D変換器を画素毎に配置(約1,000倍のA/D変換器を搭載)するというブレークスルーで達成した。(写真の左図参照)

●有機CMOSイメージセンサの特長

 有機CMOSイメージセンサは、光を電気信号に変換する機能を有機薄膜で、信号電荷の蓄積、および、読み出しを行う機能を下層の回路部で、それぞれ完全独立に行う構成だ。

 このような有機CMOSイメージセンサの構造的特長を活かし、配置自由度の大きい回路部に、高速なノイズキャンセル技術、高飽和化を実現する技術を搭載。通常はトレードオフとなる、8K高解像度での高速読み出し、高飽和特性実現による広ダイナミックレンジ化、グローバルシャッタ機能を、同時に実現。

 11日~15日に米国サンフランシスコで開催される国際学会ISSCC(International Solid-State Circuits Conference)2018にて発表した。

●CMOSイメージセンサ(パナソニック、有機薄膜)のテクノロジー

 有機の特長をフル発揮して、8K解像度、60fpsフレームレート、45万電子飽和、グローバルシャッタ機能を同時実現。国内135件、外国83件の特許からなる有機CMOSイメージセンサだ。

 光電変換機能を有する有機薄膜と、電荷蓄積および光電変換信号を読み出す回路部を完全に独立した構成だ。この積層化の構成は他の方式でも主流のようだ。

 高解像度でも高速に画素ノイズを抑制可能な「画素内-容量結合型ノイズキャンセル技術」を開発。1画素毎にノイズを制御し、高速化を実現した。

 高飽和特性を実現可能な「画素内-ゲイン切り替え技術」を開発。カメラからのスイッチ切り替えのみで、高感度モードと高飽和モードの両モードを実現できるという。

 有機薄膜へ加える電圧変更のみで、感度変更可能な「電圧制御感度変調技術」も開発。コストに影響する特殊な回路の追加なしに、8K解像度での全画素同時撮像可能なグローバルシャッタ機能を実現できるようだ。(記事:小池豊・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事